- 「バリュー株投資をしているけど、ロスカット(損切り)ルールにひっかかってばかりで儲からない」
- 「損切りした後で回復してしまい、残念な気分になった」
株式投資の書籍やWebサイトなどを見ると、「事前に決めたロスカット(損切り)ルールを徹底して守るべき」と書かれているのを見ます。
確かに、ロスカットルールは損失の拡大を防止するのに良い方法ですが、バリュー株投資においても本当に必要でしょうか?
人によっていろいろな考え方があると思いますが、私は、バリュー株投資にロスカットルールは必要ないと考えています。
私も以前、一時的なショック安の時に損切りをしたことがありますが、今では、完全に間違いだったと思っています。(そのとき、損切りした銘柄は、数年で3倍近くになりました。)
ロスカットルールだけでなく、移動平均線を下回ったら売る、などの機械的な売り方も基本的に不要と考えています。
では、バリュー株は、いつ売るべきでしょうか?
バリュー株投資の意味から考えると、売却のタイミングは5つしかありません。
本記事では、バリュー株投資において「やってはいけない売り方と、本当に売るべきタイミングはいつか」について、私の考えを紹介します。
バリュー株投資でやってはいけない売り方
割安株(バリュー株)投資でやってはいけない売り方が2つあります。
- 買値(簿価)を基準としたロスカット(損切り)、テクニカル指標による利益確定
- パニック時の狼狽売り
以下で詳しく解説します。
買値(簿価)を基準としたロスカット(損切り)、テクニカル指標による利益確定
買値(簿価)を基準としたロスカット(損切り)とは、例えば、「買値から10%下がったら機械的に売る」などのルールです。
成功者はロスカット(損切り)がうまい、といわれますが、バリュー投資家は、買値(簿価)を元にした損切りをしてはいけないと思います。
同様に、
- 25日移動平均線を下回ったら売る
- 高値から10%下がったら売る
などのテクニカル指標を基にした利益確定も必要ありません。
なぜならば、株価を基準とした損切りルールや、テクニカル指標を基にした利益確定ルールは、短期的な株価の動きを予測する、テクニカル投資に必要なことです。(予測が外れた時は、早めに撤退するということです。)
一方、バリュー株投資家は株価そのものではなく、株価と企業価値の乖離という根拠に着目して投資しています。
よって、売るときも根拠を持って売るべきであり、企業価値に基づかない損切りは不要と考えたほうがよいです。
むしろ、もともと割安な株が、理由なく値下がりした場合、バリュー株投資家であれば、買い増しすべきではないでしょうか?
(企業価値による割安の判断について、詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ↓
理論株価(適正株価)の計算方法と使い方の注意点。おすすめは企業価値評価手法)
パニック時の狼狽売り
年に数度、〇〇〇ショックが起きます。この時は、どんなにいい銘柄でもすべて投げ売りされてしまいます。
このようなときは悪いニュースが次々に噴出しますので、不安な気持ちになります。損切りをして撤退したほうが良いのではないかという気持ちになるでしょう。
このようなときに素早く行動すべきかというと、そうでないことが多いです。
なぜならば、インデックス投資などでは、マクロ経済の動きが重要ですが、個別株投資では、企業の業績のほうが重要です。
企業業績に問題がなく、暴落している状況であれば、割安になった株を積極的に買い増しするべき時です。優良企業が安く買えるときというのは、明らかにチャンスです。
パニック時に焦って売るのはやめて、落ち着いたところで安く買うのがおすすめです。
バリュー株を損切り(ロスカット)すべき5つのタイミング
ただし、どんな場合も損切りは必要ないというわけではありません。理由のない株価下落も多々ありますが、理由があって下落する場合もたくさんあります。
このような場合は、果敢に損切りすべきです。
では、バリュー株を売却すべきタイミングは具体的にいつでしょうか?バリュー株投資の意味から考えると、以下の5つに集約できると考えられます。
- 割高になったとき
- 業績が悪化したとき
- 他の魅力的なバリュー株が見つかったとき
- 現金が必要になったとき
- 銘柄選択を間違えたとき
割高になったとき
優良だけど割安だと思った株価が、予想通り値上がりしたとします。
優良な企業であれば、株価は高騰するのが普通ですので、割高な水準まで値上がりするかもしれません。
このようなときは、一番のハッピーケースです。
欲を出しすぎず、感謝して売りましょう。
しかし、どこからを割高な水準とするかは難しいところであり、人によって基準は違うと思います。
私の経験からいうと、比較的地味なバリュー株が、理論株価(適正株価)の1.5倍を超えて
値上がりする時はあまりないように思います。
何かのニュースで一時的に高騰した場合でも、1.5倍を超えて持続することは珍しいです。
そのため、私は算出した理論株価(適正株価)の1.5倍に達したら、機械的に一旦売ることにしています。
理論株価(適正株価)の計算方法と使い方の注意点。おすすめは企業価値評価手法
業績が悪化したとき
株価は業績と資産価値のそれぞれに影響されています。
資産価値はすでに確定したものですので、確実性は高いですが、業績は将来の予測であり、不確実なものです。
たとえ業績が優良な企業を厳選していたとしても、長期保有するうちに、業績が悪化することがあります。
業績が悪化した場合は、早めに売却することにしています。
業績予測の元になるのは、四半期ごとの決算ですが、株式市場は事前に織り込んで動きますので、決算で業績が確定してからでは遅いこともあります。
業績悪化につながる悪いニュースが出たのち、株価が下降トレンドになったときは早めに決断したほうがよいことが多い気がします。
他の魅力的なバリュー株が見つかったとき
もっと魅力的なバリュー株が見つかったとき、あなたはどうやって資金を捻出していますか?
資金に余裕があるならば、追加で資金を投入すればよいですが、そうでない場合は、無理して資金を追加するのは控えたほうが良いと思います。
なぜかというと、いくら優良なバリュー株でも、市場全体が暴落するときは一緒に暴落します。
投資額が大きすぎると、〇〇〇ショックが起きた時のダメージが大きくなります。
よって、他の魅力的なバリュー株が見つかったときは、相対的に期待度が低い銘柄(適正株価に近づいてきた、業績の伸びがイマイチ、など)を売却して資金を作るのをオススメします。
愛着があり、決してだめではない銘柄を売却するのは心苦しいですが、一層魅力的な銘柄を購入するためのチャンスだと割り切って、行動するようにしています。
現金が必要になったとき
これも上記と似ていますが、他の用途で資金が必要になった時は、売るタイミングです。
私の場合は、不動産投資でアパートを購入するときや、マイホームの購入時などで資金が必要になったときに換金していました。
資金が必要になったときは、株式の投資判断にかかわらず、売却することにしています。
銘柄選択を間違えた時
期待していたほど業績が成長しそうにないことがわかったとか、投資の勉強を続けるうちに実はよくない銘柄であることが分かった、などで銘柄選択の間違いに気づく時があります。
こういう時、せっかく買ったのだから多少なりとも利益が出るまでは待とう、と思いがちです。
しかし、多少の損は受け入れてでも撤退し、資金を他の有望な銘柄に移すほうが良い結果につながります。
間違えた時の撤退は嫌なものですし、失敗を認めたくないという気持ちはありますが、保有を続けたために損失が拡大したことも多々あります。
投資の神様、ウォーレン・バフェットもUSエアーやIBMなどで失敗をしていますし、投資に間違いはつきものです。
潔く過ちを認めて次に成功すればよいと考えることにしています。
ロスカット(損切り)や利益確定で悩んだ時に思い出したい言葉
利益確定で迷ったとき
株価が割高になったり、ほかに魅力的なバリュー株が見つかったときは、売却すべきタイミングです。
しかし、予想通りに値上がりしている場合、さらに上がるのではないか、という思いが生じるため、迷いがでると思います。
どうしても売却して利益確定すべきか悩むとき、決断を後押しするために自分に言い聞かせる言葉を2つ紹介します。
「頭と尻尾はくれてやれ」
どうしても最高値で売りたいと考えてしまいがちですが、どこが最高値かは、後にならないとわかりません。
頭の先は誰かにくれてやるというくらいのつもりで、腹八分目のところで我慢する余裕をもって投資することにしています。
「もうはまだなり、まだはもうなり」
もう天井だろうと思った時は、まだ高値があり、まだ天井ではないと思った時には、もう天井を過ぎているという意味です。
やはり最高値を予測するのは不可能なので、ほどほどのところで良しとするのが一番だと考えるようにしています。
それでも迷うのならば、一部だけ売却するのもよい
それでもどうしようかと悩んでしまう場合は、一部(半分だけとか)売却するというのも1つの手です。
分割して投資するのと同じように、分割して売却すれば大きく損することはありません。
また、一部でも売却すると、売却することに慣れるのか、2回目の売却時に悩むことがなくなるという、心理的な効果もあります (^○^)
損切りで迷ったとき
含み損を抱えてしまった銘柄を損切りする場面は、どんな投資家にもよくあることだと思いますが、あなたはどうやって決断していますか?
未練なく、冷静に売却できるという方は素晴らしいですね!
一方で、なかなか損切りできない、という方も多いのではないでしょうか?
私も、毎回「あちゃ~」と感じながら、「買値(簿価に)回復するまでもうちょっと待とう」、とか考えてしまいます。。。
簿価にとらわれてしまうのは、「サンクコスト(撤退することで回収できなくなる費用)を受け入れるのが苦痛」という人間の心理が影響しています。
含み損を確定するのが苦痛なため、損切りを避けようとするのです。
このようなとき、私は次のように自分に問いかけることにしています。
「今、新たに投資するとしたら、この銘柄を選ぶか?」
損切りが苦しいのは、買値を覚えているからです。
そこで、もし新たに買うとしたら、買うだろうか、を考えます。
割安とはいえず、買いたくないのであれば、保有する必要がない銘柄のはずです。
新規に買う場面を考えることで、
冷静な判断ができるようになりますので、バリュー株投資で成功したいと思う方にはおすすめです。
まとめ
- バリュー株を売るべきタイミングは、以下の5つ
- 割高になったとき
- 業績が悪化したとき
- 他の魅力的なバリュー株が見つかったとき
- 現金が必要になったとき
- 銘柄選択を間違えたとき
- 逆に、やってはいけないのは、以下の2つで売ること
- 買値(簿価)を判断基準とした損切り
- パニック時の狼狽売り