- 「大化けする株をつかむには、上昇余地が大きな低位株(ボロ株)がよい?」
- 「株価が激安な銘柄に投資したら、さらに下がってしまった。何を基準に判断すればいいかわからない」
とはいえ、単に株価が激安だからという理由で投資すると、失敗することが多いです。なぜなら、低位株、ボロ株にはメリットだけでなく、デメリットも多いからです。
投資する際は株価の安さ自体をみるのではなく、業績や財務に対して割安な株を探すとよいです。
業績や財務を分析すると聞くと難しく感じるかもしれません。しかし、株価の割安度を簡単に判断できる無料のツールもありますので意外と難しくありません。割安株投資をしたい方は使ってみるとよいです。
本記事では株価が安い銘柄(低位株・ボロ株・激安株)を安易に買うと失敗しやすい理由と、割安さを判断するにはなぜ業績・財務に注目すべきかについて解説します。
一般的に価格が安い株(低位株、ボロ株)が良いとされる理由(メリット)
1株あたりの株価が安い銘柄を低位株といいます。正確な定義はありませんが、1株300~500円以下の銘柄のことをいいます。中でも1株100円未満の激安株は超低位株、またはボロ株と呼ばれます。
低位株、ボロ株のような株価が安い銘柄への投資は以下の2つのメリットがあります。
- 大化けする可能性がある
- 少ない金額で投資できる
ただし、これらのメリットは逆に失敗しやすい理由につながっていますので注意しないといけません。最初に株価が安い銘柄(低位株、ボロ株、激安株)が良いとされる理由について詳しく述べます。
株価が安い銘柄(低位株、ボロ株)は大化けする可能性がある
株価が安い銘柄の最大のメリットは大化けする(株価が急騰する)可能性があることです。
たとえば、2017年に株価が急騰して話題になったリミックスポイントのチャートを見てください。
2017年4月の株価は200円くらいの激安株でした。しかし、2017年5月に急上昇し始め、2017年6月には1820円の高値をつけました。つまり、わずか2か月で株価が9倍になったのです。
当時はビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)の価格上昇が話題になっていた時期です。リミックスポイントは子会社のビットポイントジャパンが暗号資産(仮想通貨)の取引所を運営していたため、暗号資産(仮想通貨)の相場上昇が材料視されてリミックスポイントの株価が急騰したのです。
低位株は時価総額が小さな中小型企業が多く、何らかの理由で上昇し始めると短期間で数倍になる可能性があります。これが低位株の最大のメリットです。
株価が安い銘柄は少ない金額で買える
株価が安い銘柄(低位株、ボロ株)のもう一つのメリットは少ない金額で買えることです。
たとえばトヨタの株を買う場合、通常の株取引における売買単位である1単元(100株)あたり約65万円かかります(2019年5月)。ある程度の資産がある投資家でないと買いにくいですよね。
一方、株価が安い低位株は1単元(100株)でも5万円以下で買うことができます。ボロ株であれば1万円以内で買えます。まさに激安株ですね。
低位株、ボロ株は少額で買えるため、特に個人投資家に人気があります。
一部の証券会社では、日本株を1株から売買できます(単元未満株制度)。単元未満株を使えば、少額から売買できて便利です。
安易に株価が安い銘柄(低位株・ボロ株・激安株)を買うと失敗しやすい理由(デメリット)
一方、株価が安い銘柄(低位株・ボロ株)には危険も潜んでいます。たとえば、以下の3点です。
- 株価が安い銘柄(低位株・ボロ株)の多くは株価が低迷したままである
- 時価総額が小さい低位株、ボロ株は、仕手筋にやられる可能性がある
- 低位株、ボロ株は業績が低迷している株が多い
上記デメリットがあるため、安い株(低位株・ボロ株)はおすすめしません。それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。
株価が安い銘柄(低位株・ボロ株・激安株)の多くは株価が低迷したままである
上記では低位株・ボロ株の一部は大化けする可能性があると述べました。しかし、その他多くの低位株、ボロ株は長期間株価が低迷し続けることが多く、実際に急騰株で利益を出すのは難しいのが現実です。
たとえば、2018年の株価上昇率ランキングの銘柄と上昇率をみると以下のようになっています。
順位 | 銘柄名 | 上昇率[%] |
---|---|---|
1 | ALBERT | 845 |
2 | 地域新聞社 | 718 |
3 | エムティジェネックス | 526 |
4 | ブレインパッド | 305 |
5 | エクストリーム | 256 |
6 | テリロジー | 228 |
7 | JMC | 190 |
8 | 鎌倉新書 | 189 |
9 | オイシックス・ラ・大地 | 184 |
10 | リンクバル | 175 |
引用:2018年【値上がり率】年間ランキング ベスト50(株探)
上記ランキングをみると、1年間で株価が2倍以上になった銘柄はわずか6銘柄しかありません。日本の上場銘柄数は約3700社であることを考えると、大化けする銘柄はほんのわずかです。
※ただし、上記ランキングは2018年始から2018年末までの株価上昇率なので、一時的に急騰する株はもっとあります。とはいえ、全銘柄数3700社から比べればごくわずかです。
つまり、短期間で数倍に値上がりする激安株というのはほんの一握りであり、それを事前に予測するのは困難であることがわかります。
低位株、ボロ株は一時的に急騰しても元に戻ってしまうことも多い
また、低位株は一時的に急騰してもしばらくたつと元に戻ってしまうことがよくあります。
たとえば、前述のリミックスポイントについて見てみましょう。
2017年6月に約1800円近くまで上昇しましたが、2018年1月には約700円くらいまで下落しました。その後、2018年6月ごろに再び1800円くらいまで上昇しましたが、2019年5月には再度300円台まで下落し、急騰前の水準200円に近いレベルになっています。
リミックスポイントは比較的高値が長続きしたほうですが、中には数か月で元の株価に戻る銘柄もあります。
急騰前から保有していた場合は元に戻るだけなのでまだよいとしても、急騰後に購入した場合は大損してしまいます。低位株、ボロ株をタイミングよく売買して利益を出すのは難しいと考えるほうが良いです。
時価総額が小さい低位株、ボロ株は仕手筋にやられる可能性がある
仕手筋とは、特定の銘柄に大量の買いを入れたり、一般投資家の注目を集めたりして、意図的に株価を吊り上げることで利益を得ようとする投資家グループのことです。
なぜ仕手筋は意図的に株価を吊り上げることができるのでしょうか?
まず、仕手筋が狙う銘柄は何かというと、時価総額が小さな銘柄(つまり、低位株、ボロ株)です。時価総額が小さな激安株は個人投資家の買いで需要と供給の関係が崩れやすく、株価が急騰しやすいからです。
仕手筋は事前に安値で銘柄を仕込んでおいたあと、株初心者の注目を集めるような出来事(株価が急騰した、SNSでよいうわさが広まったなど)を意図的に作ります。
株初心者はみんなに注目されている銘柄に便乗したがることが多いです。そのため、株初心者は仕手筋が仕掛けたわなにはまって買い注文を入れてしまいます。
そして、買いが買いを呼ぶ状態になった結果、仕手筋の意図どおりに株価を急騰させることができます。
そして、仕手筋は株価が十分高くなったところで売って利益を得ます。一方、仕手筋に騙されて高値で株を購入してしまった株初心者は、その後の株価急落で損してしまいます。
したがって、株価が安い銘柄(低位株、ボロ株)で大化けを狙って投資をすると、知らないうちに仕手筋に騙されてしまうことがあります。低位株、ボロ株に投資するときは仕手筋に気を付けないといけません。
株価が安い銘柄(低位株、ボロ株)は業績が低迷している株が多い
株価が安い銘柄(低位株、ボロ株)というのはかつては業績が良かったけれども、今は業績が低迷している株が多いです。このような低迷株は業績が上向くようなきっかけがない限り、株価は低迷し続けることが多いです。
最悪の場合、業績が低迷しすぎて財務が悪化した株は倒産や上場廃止(取引所で株の取引ができなくなること)などに追い込まれる場合もあります。この場合、株は無価値同然になるため、投資家は大損してしまいます。
株価が安い銘柄(低位株、ボロ株)に投資するときは業績の動向に注意が必要です。
中にはよい銘柄もあるかもしれませんが、むしろ業績が低迷している株のほうが比較的多いです。株価が安いこと自体を投資の判断基準にすることはおすすめしません。
お買い得株を探すなら、業績・財務がよい割安株がおすすめ
株価が割安でお買い得な株を探すなら、株価自体をみるのではなく、業績や財務のよさと比較するとよいです。
基本的に業績・財務のよい銘柄は株価が高いことが多いです。しかし、知名度がない銘柄(たとえば、中小企業)の中には業績・財務が良いのに割安な銘柄も隠れています。このような銘柄であれば、いずれ業績・財務の良さに注目が集まり、株価が修正される(つまり、株価が上昇する)だろうと期待できます。
したがって、株価のお買い得さを判断するには、業績・財務がよい割安株を探すのがおすすめです。
お買い得な割安株を探すには企業価値評価手法がおすすめ
業績や財務に対して株価のお買い得さを判断する方法はいろいろあります(たとえば、PERやPBRを使うという方法があります)。
その中で、私が実際に活用していて、おすすめしたいのは、企業価値評価手法(バリュエーション)を使って理論株価を計算する方法です。
企業価値評価手法は、M&Aなどの場面で企業の買収価格を計算するときに使われる手法です。収益性と資産性を総合的に評価することで、合理的に企業価値(株主価値)を計算できます。
企業価値を1株当たりの金額に換算したものは理論株価と呼ばれ、割安度の目安になります(たとえば、実際の株価が理論株価より安ければ割安です)。図で表すと、以下のイメージです。
まとめ
本記事では株価が安い銘柄(低位株・ボロ株・激安株)を安易に買うと失敗しやすい理由と、割安さを判断するにはなぜ業績・財務に注目すべきかについて紹介しました。
低位株・ボロ株は投資しやすいし、注目を浴びやすいので、株初心者が手を出してしまいがちです。しかし、低位株、ボロ株は基本的に業績や財務に問題があるケースが多いため、株価自体でお買い得さを判断して投資することはあまりおすすめできません。
お買い得な株を探したいなら業績や財務に対する割安さで判断するとよいです。中でも、企業価値評価手法は収益性と資産性の両面から総合的に理論株価を判断するため、合理的で納得感があります。
割安株投資に興味がある方は、企業価値評価手法を使ってみるとよいです。