「資産運用はインデックス投資で十分だと思う。」
「低コストなインデックスETFがあれば乗り換えたい!」
という方はいませんか?
SBI証券とマネックス証券が超低コストのETF(SPDRの米国上場ETF)の取扱いを開始しました。
総経費率はなんと、最小0.03%です。尋常ではない低コストとなっており、インデックス投資家にとってうれしいETFです。
低コストのETFといえばバンガードのETFも有名ですが、投資するなら、どちらを選ぶとよいでしょうか?
本記事では、SPDRとバンガードのETFについて、手数料と運用成績を比較した結果をご紹介します。
インデックスファンドの買い方
取扱開始されたETF
2018/7/13から取り扱い開始されたETFは、総経費率(信託報酬)が0.1%未満の超低コストETF14銘柄と、債券ETF4銘柄であり、合計18銘柄です。
米国株式や国債、社債などのほか、米国以外の先進国株式もあります。
これらのポートフォリオを、総経費率(信託報酬)0.1%未満で組めるようになったというのだから、本当に驚きです!
インデックス運用の規模が拡大→
手数料を下げられる→
さらに規模が拡大する
の好循環が生まれているのでしょう。
インデックス投資に対する、人気の高まりを実感します。
SPDRとバンガードの超低コストETFの比較
総経費率(信託報酬)の比較
総経費率(信託報酬)について、同等の資産クラスのバンガードETFと比較した結果が以下です。
資産クラス | SPDR ティッカー | SPDR 総経費率 | バンガード ティッカー | バンガード 総経費率 |
---|---|---|---|---|
米国総合株式 | SPTM | 0.03% | VTI | 0.04% |
米国大型株 | SPLG | 0.03% | VV | 0.05% |
米国中型株 | SPMD | 0.05% | VO | 0.05% |
米国小型株 | SPSM | 0.05% | VB | 0.05% |
S&P500グロース株 | SPYG | 0.04% | VOOG | 0.15% |
S&P500バリュー株 | SPYV | 0.04% | VOOV | 0.15% |
S&P500高配当株 | SPYD | 0.07% | VYM | 0.08% |
S&P先進国株(除く米国) | SPDW | 0.04% | VEA | 0.07% |
米国総合債券 | SPAB | 0.04% | BND | 0.05% |
米国短期社債 | SPSB | 0.07% | VCSH | 0.07% |
米国中期社債 | SPIB | 0.07% | VCIT | 0.07% |
米国長期社債 | SPLB | 0.07% | VCLT | 0.07% |
米国短期国債 | SPTS | 0.06% | VGSH | 0.07% |
米国長期国債 | SPTL | 0.06% | VGLT | 0.07% |
どちらも十分低いですが、SPDRシリーズのほうが0.01~0.02%低いものが多いです。
S&P500グロース株、バリュー株については、0.11%ほど差があります。
SPDRが基本的に最安値と考えてよさそうです。
純資産総額の比較
純資産総額が大きい場合、
- 運用の安定性が高い
- 効率的な運用ができる
- 繰上償還(途中終了)されにくい
というメリットがあります。
一方、純資産総額が小さすぎると、繰上償還のリスクが高まりますので、注意が必要です。
純資産総額について、SPDRとバンガードのETFを比較した結果が以下です。
(2018年7月13日現在)
資産クラス | SPDR ティッカー | SPDR 純資産総額 (M$) | バンガード ティッカー | バンガード 純資産総額(M$) |
---|---|---|---|---|
米国総合株式 | SPTM | 2340 | VTI | 100620 |
米国大型株 | SPLG | 1470 | VV | 13340 |
米国中型株 | SPMD | 825 | VO | 23910 |
米国小型株 | SPSM | 1270 | VB | 24440 |
S&P500グロース株 | SPYG | 2940 | VOOG | 2200 |
S&P500バリュー株 | SPYV | 1410 | VOOV | 832 |
S&P500高配当株 | SPYD | 594 | VYM | 21180 |
S&P先進国株(除く米国) | SPDW | 2830 | VEA | 70460 |
米国総合債券 | SPAB | 2980 | BND | 36740 |
米国短期社債 | SPSB | 4310 | VCSH | 21180 |
米国中期社債 | SPIB | 3290 | VCIT | 18770 |
米国長期社債 | SPLB | 323 | VCLT | 2290 |
米国短期国債 | SPTS | 487 | VGSH | 2630 |
米国長期国債 | SPTL | 1080 | VGLT | 642 |
バンガードは、長年、超低コストで人気だったため、純資産総額が大きいです。
最大規模のVTIでは、1000億ドル(約11兆円)もあります!
一方、SPDRシリーズの総経費率(信託報酬)が現在の水準に引き下げられたのは、2017年11月ですので、まだ半年くらいしか経っていません。
そのため、SPDRシリーズの資産規模は、バンガードに追い付けていないようです。
純資産総額の点では、バンガードのほうがよさそうです。
とはいえ、SPDRシリーズも、3.2~43億ドル(350~4700億円)ありますので、十分な規模はあります。
繰上償還されるようなことは、おそらくないと考えてよさそうです。
ベンチマークの違い
SPDRシリーズとバンガードのETFは、目標とするベンチマークが異なります。
資産クラス | SPDR ティッカー | SPDR ベンチマーク | バンガード ティッカー | バンガード ベンチマーク |
---|---|---|---|---|
米国総合株式 | SPTM | SSGAトータル・ストック・マーケット指数 | VTI | CRSP USトータル・マーケット・インデックス |
米国大型株 | SPLG | SSGA大型株式指数 | VV | CRSP USラージキャップ・インデックス |
米国中型株 | SPMD | S&P1000指数 | VO | CRSP USミッドキャップ・インデックス |
米国小型株 | SPSM | SSGA小型株式指数 | VB | CRSP USスモールキャップ・インデックス |
S&P500グロース株 | SPYG | S&P500グロース指数 | VOOG | S&P500グロース指数 |
S&P500バリュー株 | SPYV | S&P500バリュー指数 | VOOV | S&P500バリュー指数 |
S&P500高配当株 | SPYD | S&P500高配当指数 | VYM | FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス |
S&P先進国株(除く米国) | SPDW | S&P先進国(除く米国)BMI指数 | VEA | FTSE先進国オールキャップ(除く米国)インデックス |
米国総合債券 | SPAB | ブルームバーグ・バークレイズUSアグリゲート指数 | BND | ブルームバーグ・バークレイズ米国総合浮動調整インデックス |
米国短期社債 | SPSB | ブルームバーグ・バークレイズ米国社債1-3年指数 | VCSH | ブルームバーグ・バークレイズ米国社債1-5年インデックス |
米国中期社債 | SPIB | ブルームバーグ・バークレイズ米国社債中期指数 | VCIT | ブルームバーグ・バークレイズ米国社債(5-10年)インデックス |
米国長期社債 | SPLB | ブルームバーグ・バークレイズ米国社債長期指数 | VCLT | ブルームバーグ・バークレイズ米国社債(10年超)インデックス |
米国短期国債 | SPTS | ブルームバーグ・バークレイズ米国国債1-5年指数 | VGSH | ブルームバーグ・バークレイズ米国国債浮動調整(1-3年)インデックス |
米国長期国債 | SPTL | ブルームバーグ・バークレイズ米国国債長期指数 | VGLT | ブルームバーグ・バークレイズ米国国債浮動調整(10年超)インデックス |
株式の多くは指数の算出元が異なりますし、債券についても償還期間が微妙に異なっています。
同じ資産クラスでも、ベンチマークが異なると、運用成績が結構違うことはよくあります。
(例えば、同じ日本株でも、日経平均とTOPIXの運用成績は異なりますね。)
さらに、ETFの運用の巧拙によっては、ベンチマークからの乖離(トラッキングエラー)も生じる可能性があるため、実際の運用成績がどうなっているか、気になります。
運用成績の比較
各ETFのファクトシートより、5年平均のトータルリターンを比較した結果が以下です。
(すべて2018年3月31日現在)
資産クラス | SPDR ティッカー | SPDR トータルリターン (年率、5年平均) | バンガード ティッカー | バンガード トータルリターン (年率、5年平均) |
---|---|---|---|---|
米国総合株式 | SPTM | 13.01% | VTI | 13.03% |
米国大型株 | SPLG | 13.12% | VV | 13.21% |
米国中型株 | SPMD | 11.27% | VO | 12.26% |
米国小型株 | SPSM | - | VB | 11.67% |
S&P500グロース株 | SPYG | 15.19% | VOOG | 15.22% |
S&P500バリュー株 | SPYV | 10.70% | VOOV | 10.73% |
S&P500高配当株 | SPYD | - | VYM | 11.87% |
S&P先進国株(除く米国) | SPDW | 6.52% | VEA | 7.12% |
米国総合債券 | SPAB | 1.78% | BND | 1.73% |
米国短期社債 | SPSB | 1.73% | VCSH | 1.59% |
米国中期社債 | SPIB | 2.07% | VCIT | 2.77% |
米国長期社債 | SPLB | 4.76% | VCLT | 4.90% |
米国短期国債 | SPTS | 0.54% | VGSH | 0.44% |
米国長期国債 | SPTL | 3.15% | VGLT | 3.17% |
債券ETFについては多少、ばらつきがありますが、株式ETFについては、わずかな差しかないようです。
今後、総経費率の引き下げの効果が表れると、SPDRシリーズのほうが若干よくなるかもしれません。
比較まとめ
総経費率(信託報酬)0.01~0.02%の違いが、運用成績に与える影響を考えた場合、10年で0.1~0.2%くらいの違いなので、あまり大きくはありません。
すでにバンガードのETFを持っている場合は、売買手数料を払い、利益確定してまで、乗り換える必要はないかもしれません。
とはいえ、総経費率(信託報酬)は確実なマイナスなので、少しでも低いほうがいいのも確かです。
今、自分が新規で買うとしたら、SPDRシリーズを選ぶかなと思います。
詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ。
長期投資におすすめな投信(インデックスファンド・ETF)の選び方のポイント
SPDRの超低コストETFを買えるのは、SBI証券・マネックス証券のみ
SPDRの超低コストETFに投資できるのは、現状、SBI証券、マネックス証券に限られます。
米国株式の取引自体は、楽天証券も可能ですが、まだ、SPDRシリーズの取扱はないようです。
SPDRシリーズに興味があるけど、まだ口座がないという場合は、SBI証券、マネックス証券で口座開設しましょう。
SBI証券は住信SBIネット銀行を経由すると、為替手数料が片道4銭になるので、好みですが、マネックス証券は米国株の取扱銘柄数が圧倒的に多いのがメリットです。
両方ともオススメですので、お好きなほうを選ぶとよいです。
以下に、米国株取引に関する、SBI証券、マネックス証券、楽天証券の比較表を載せました↓
米国株取引 | SBI証券 | マネックス証券 | 楽天証券 |
---|---|---|---|
取扱銘柄数(個別株式) | 3684 | 3753 | 3340 |
取扱銘柄数(ETF) | 305 | 311 | 321 |
取引手数料 | 0.495%(税込) | 0.495%(税込) | 0.495%(税込) |
為替手数料 (1ドルあたり、片道) | 25銭 (住信SBIネット銀行 経由で4銭) | 25銭 | 25銭 |
SBI証券の評判と私の口コミ。手数料などのメリット・デメリットを楽天証券などと比較
本格的に米国株投資をするならマネックス証券がおすすめ
まとめ
- 超低コストのETFである、SPDRシリーズがSBI、マネックス証券で購入できるようになった。
- 今まで最安であった、バンガードのETFよりも、総経費率(信託報酬)が0.01~0.02%程度低い。
- 運用成績もバンガードとあまり変わらないので、新規に買うならば、SPDRシリーズがオススメ。