- 「以前作成したNISA口座を、別の証券会社に乗り換えたい」
- 「これまでNISAを使ってきたけれども、つみたてNISAに口座変更したい」
しかし、NISA口座の変更の仕方はわかりにくいうえ、もし手続きを間違えるとせっかくの非課税メリットを失ってしまう場合もあります。NISA変更の手続きはその注意点とデメリットをよく理解してから実行するとよいです。
本記事ではNISA、つみたてNISAの金融機関の変更方法・区分変更方法と注意点、デメリットについて紹介します。
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NISA・つみたてNISAの金融機関(証券会社)の乗り換え方法
最初に、金融機関変更の条件と切り替え手続きについて解説します。
NISAの金融機関変更の注意点(2つの条件)
当年分のNISA口座の金融機関を変更する(たとえば、2019年2月に2019年のNISA口座を他証券会社に変更する)には以下の2つの条件があり、両方を満たしていないと手続きできません。
- 1~9月までに手続きをすること
- 当年内の取引や配当金の受取がないこと
両方の条件を満たしていない場合は翌年分以降の変更となります(例えば、2019年11月に手続きする場合は、2020年以降の乗り換えになる)。
証券会社の変更を検討している方は、変更期限を過ぎたり、配当を受け取ったりする前に、早めに手続きをしておくとよいです。
NISAの金融機関(証券会社)変更の手続き
NISA・つみたてNISAを別の証券会社に乗り換える場合の手続きは以下です。
1.NISA口座を保有している証券会社に連絡(電話またはWebで申請)します。
- NISAで保有している株式等を残したまま、変更する(→「非課税管理勘定廃止届出書」で申し込む)
- NISAで保有した株式等を課税口座に移管して、変更する(→「非課税口座廃止届出書」で申し込む)
手続き書類の名前が似ていてややこしいので注意してください。間違って申請してしまうとNISA口座で保有中の資産が課税口座に移され、非課税メリットを失ってしまいます。よく確認してから申し込んでください。
もしNISA口座で保有中の資産がない場合は「非課税口座廃止届出書」でもかまいません。
2.変更前の証券会社で廃止手続きが終わったら「非課税管理勘定廃止通知書」(または「非課税口座廃止通知書」)が送られてきます。
3.新たにNISA口座を開設したい証券会社に申請します。
4.送られてきた口座開設書類や本人確認書類、マイナンバーカードまたは通知カードと一緒に「非課税管理勘定廃止通知書」(または「非課税口座廃止通知書」)を送ります。
5.口座開設完了の連絡がきたら、取引ができるようになります。
NISA口座を他の金融機関に乗り換える場合は1か月くらい時間がかかりますので、早めに手続きをしておくとよいです。
また、上記の条件がありますので、気軽に何度も変更することはできません。NISA・つみたてNISA口座を選択する際はどの証券会社がよいか、よく考えてから行うことをおすすめします。
NISAを選ぶならSBI証券かマネックス証券、つみたてNISAを選ぶなら楽天証券がおすすめです。
なぜなら、売買手数料が無料になる優遇制度や、投資金額に対してポイントがつくなどの特典があってお得だからです。
NISAでおすすめの証券会社については以下の記事にまとめてあります。詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ。
SBI証券と楽天証券における証券会社変更手続きの具体例
金融機関の乗り換え手続きの例として、SBI証券と楽天証券における乗り換え方法を具体的に示します。
SBI証券のNISA・つみたてNISA口座をやめる(非課税管理勘定廃止)ときの手続き
SBI証券に金融機関変更の連絡をします。SBI証券の場合、以下の電話番号に連絡します。
カスタマーサービスセンター:0120-104-214
(携帯電話・PHSの場合は、0570-550-104)
「他の金融機関に変更したい」と伝え、届出書を送ってもらいます。必要事項を記入して返送します。
1週間くらいで手続きが完了したのち、「非課税管理勘定廃止通知書」が送られてきます。
楽天証券のNISA口座をやめる(非課税管理勘定廃止)ときの手続き
楽天証券のホームページから手続きをします。楽天証券にログイン後、「NISA つみたてNISA」タブをクリックし、「口座開設・区分変更」をクリックします。
「金融機関変更手続き(楽天証券⇒他社)」の申し込みをクリックして、申し込みます。
申請後、楽天証券から「非課税管理勘定廃止通知書」が送られてきます。
SBI証券にNISA・つみたてNISA口座開設を申し込むときの手続き
SBI証券にNISA・つみたてNISA口座を開設するときの手続き方法は、すでにSBI証券の総合口座を持っているか、持っていないかで変わります。それぞれについて解説します。
SBI証券の総合口座を持っているとき
SBI証券にログイン後、画面上部の「NISA つみたてNISA」タブをクリックします。さらに、「NISA」タブをクリックします(「つみたてNISA」タブでもいいです)。
「NISAをはじめる」ボックスの中にある「金融機関変更のお手続き」をクリックします。
表示された画面の上部にある「SBI証券 NISA口座への変更はこちら」ボタンをクリックします。
表示された画面で金融機関変更の書類請求申込をします。
SBI証券から申込書類が送られてきたら、以下の3点を合わせて返送します。
- 非課税口座開設届出書(郵送されてきた届出書に必要事項を記入する)
- 本人確認書類とマイナンバーを確認できる書類
- 勘定廃止通知書または非課税口座廃止通知書(旧NISA・つみたてNISA口座をやめるときに郵送されてきた書類)
SBI証券で手続きをした後、口座開設が完了します。
SBI証券の総合口座を持っていないとき
他の金融機関でNISA・つみたてNISA口座を開設していた場合、総合口座とNISA・つみたてNISA口座を同時開設することはできません。
最初に総合口座を開設したのち、NISA・つみたてNISA口座を追加で開設します。
最初に、SBI証券の公式サイトにアクセスします。
次に、「口座開設はこちら」ボタンから口座開設フォームに移動します。
申込画面下部にある「NISA/つみたてNISAを申し込まない」にチェックを入れ、その他の必要事項を記入します。
マイナンバーの確認書類と本人確認書類を提出します(オンライン、郵送で手続き可能)。SBI証券で手続きを完了した後、総合口座開設完了の連絡がきます。
次に、NISA・つみたてNISA口座を開設するには、上記の「SBI証券の総合口座を持っているとき」と同じ方法で手続きを行います。
2段階で手続きを行うため、時間がかかります。NISA口座を変更したいと思ったら、早めに手続きを行うとよいです。
楽天証券にNISA・つみたてNISA口座開設を申し込むときの手続き
楽天証券でNISA・つみたてNISA口座を開設する場合も、すでに総合口座を持っているか、持っていないかで変わります。
楽天証券の総合口座を持っているとき
楽天証券にログイン後、「NISA つみたてNISA」のタブをクリックして、「NISA口座を他社から変更する」を選択します。
つみたてNISA、またはNISAを選択して、申し込みます。
申込書が郵送されてきますので、必要事項を記入して返送します(旧NISA・つみたてNISA口座をやめたときに送られてきた「非課税管理勘定廃止通知書」も同封します)。
税務署で審査後、つみたてNISA口座開設が完了します。
楽天証券の総合口座を持っていないとき
楽天証券では「通常郵便による口座開設」を選ぶことで、総合口座とNISA口座を同時開設できます。
最初に、楽天証券 の公式サイトにアクセスします。
必要事項の入力画面の中に、「NISA口座の選択」がありますので、「つみたてNISAを開設」または「NISAを開設」を選択します。さらに、「他社でお持ちのNISA口座を楽天証券に変更する」にチェックを入れます。
他の必要事項を入力し、申し込みを完了します。
楽天証券から口座開設書類が郵送されてきますので、必要事項を記入したのち、「非課税管理勘定廃止通知書」を同封して返送します。
楽天証券で手続きが完了したら、口座開設完了の連絡がきます。
NISAからつみたてNISA、つみたてNISAからNISAへの区分変更(切り替え)方法
次に、区分変更の条件と切り替え方法について解説します。
NISAの区分変更の注意点(2つの条件)
当年分のNISA口座の区分変更をする(たとえば、2019年2月に2019年のNISA口座を区分変更する)には以下の2つの条件があり、両方満たしていないと手続きできません。
- 1~9月までに手続きをすること
- 当年内の取引や配当金の受取がないこと
両方の条件を満たしていない場合は翌年分以降の変更となります(例えば、2019年11月に手続きする場合は、2020年以降の区分変更になる)。
区分変更を検討している方は、変更期限を過ぎたり、配当を受け取ったりする前に、早めに手続きをしておくとよいです。
NISAの区分変更(切り替え)手続き
同一証券会社内でNISAとつみたてNISA(積立NISA)の切り替えをしたい場合の手続きは、どの証券会社もおおむね似ており、以下のようになっています。
1.NISA口座を保有している証券会社に申込書類を請求します。
2.申込書類に記入して返送する
3.証券会社で区分変更処理が完了したら取引ができるようになります。
NISAの区分変更方法は証券会社を乗り換える場合に比べると簡単です。しかし、上記の条件がありますので、気軽に何度も変更することはできません。
NISA・つみたてNISA口座を選択する際はどの証券会社がよいか、よく考えてから行うことをおすすめします。
NISAを選ぶならSBI証券かマネックス証券、つみたてNISAを選ぶなら楽天証券がおすすめです。
なぜなら、売買手数料が無料になる優遇制度や、投資金額に対してポイントがつくなどの特典があってお得だからです。
NISAでおすすめの証券会社については以下の記事にまとめてあります。詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ。
SBI証券・楽天証券におけるNISAの区分変更(切り替え)方法の例
NISA口座とつみたてNISA口座を乗り換える手続きの例として、以下の証券会社における手続き方法を示します。
- 楽天証券
- SBI証券
楽天証券でNISAからつみたてNISAに切り替える(区分変更する)方法
楽天証券でNISAからつみたてNISA、もしくはつみたてNISAからNISAに口座変更する場合の手続き例を示します。
楽天証券にログイン後、「NISA つみたてNISA」タブをクリックし、「口座開設・区分変更」をクリックします。
次の画面で「つみたてNISA・NISAへの切り替えはこちら」をクリックします。
確認事項を確かめた後、「資料・申込書を請求する」をクリックします。
手続き書類が郵送されてきますので、必要事項を記入して返送すれば終わりです。
SBI証券でNISAからつみたてNISAに切り替える(区分変更する)方法
SBI証券でNISAからつみたてNISA、もしくはつみたてNISAからNISAに口座変更する場合の手続きも同様です。
SBI証券にログイン後、ホーム画面右側の「お取引・口座開設」欄の「NISA→つみたてNISA」、または「つみたてNISA→NISA」の変更ボタンを押して、変更のための書類を請求します。
手続き書類が郵送されてきますので、必要事項を記入して返送すれば終わりです。書類がSBI証券に届いてから1~2営業日で変更手続きが完了します。
NISA・つみたてNISA口座の金融機関・区分変更のデメリット(注意点)
NISA口座の証券会社を変更する際のデメリットは2つあります。
- ロールオーバーができなくなる
- NISA・つみたてNISA口座で保有中の資産を他の証券会社に移管できない
重大なデメリットというわけではありませんので、証券会社変更のメリットのほうが大きいと思いますが、事前に理解してから行うとよいです。それぞれについて、以下で解説します。
ロールオーバーができなくなる
ロールオーバーというのは、非課税期間が終了した資産を、翌年の非課税枠に移すことです。
例えば、以下の図のように、平成30年(2018年)に購入した投資信託を平成35年(2023年)の非課税枠に移すことで非課税期間を最長10年に伸ばすことができます。
しかし、ロールオーバーは同一の口座内でのみ可能となっているため、口座を乗り換えた場合はロールオーバーができません。投資期間が5年に限定されてしまうため、長期投資の効果を発揮しにくくなるというデメリットがあります。
新しいNISA口座への資産移管はできない
NISA、もしくはつみたてNISA口座の資産管理をしやすくするため、一つの口座で管理したいという方は多いと思います。
しかし、旧NISA(つみたてNISA)口座の資産を新NISA(つみたてNISA)口座に移すことはできません。いったん売却して新たに買うしかないのですが、その場合、以前の非課税枠を失ってしまうことになります。
2つのNISA口座を別々に管理しなくてはいけないため、管理の手間が増えることが2つ目のデメリットです。
NISA口座の使い方についてのおすすめ記事はこちら:まとめ
本記事ではNISA・つみたてNISA口座の金融機関変更(乗り換え)・区分変更方法と注意点、デメリットについて紹介しました。
NISAとつみたてNISAの違いに加えて、各ネット証券で得意としている運用商品が異なりますので、自分の運用スタイルに合わせてNISA口座を見直すとよいです。自分に合った口座を選ぶことができれば、「非課税メリット」と「証券会社独自の特典」をフル活用してお得に投資できます。
特に、金融機関の乗り換えには1か月くらいかかりますので、変更する場合は早めに手続きすることをおすすめします。