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割安株(バリュー株)投資

売られすぎた株に安易に手を出すと失敗しやすい2つの理由。指標とすべきは株価ではなく、業績と財務

この記事ではこんな疑問にお答えします。

  • 「株で利益を出すなら、売られすぎて安くなった株がよい?」
  • 「売られ過ぎと言われていた株に投資したら、さらに下がってしまった。何を基準に投資判断すればいいかわからない」
リバウンドを狙って「売られすぎ株」に注目するという方は多いです。

しかし、株価の底値で買うのはとても難しく、「下げ過ぎと思って買ったら底抜けしてしまった」ということになりがちです。単に売られ過ぎているからといって安易に手を出すのは危険なため、あまりおすすめしません。

投資する際は株価自体の安さを指標とするのではなく、業績や財務を基準として割安な銘柄を探すとよいです。業績や財務を分析するというと難しく感じるかもしれませんが、株価の割安度を判断できる無料のツールもありますのでそんなに難しくありません。割安株投資をしたい方はツールを使ってみるとよいです。

本記事では売られ過ぎた株に安易に手を出すと失敗しやすい2つの理由を紹介し、何を元に株価の割安さを判断するべきかについて私の考えを紹介します。

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一般的に売られ過ぎ株を買うとよいとされている理由(メリット)

売られすぎ銘柄が注目されやすいのはなぜでしょうか?その理由は以下の2点にあります。

  • 短期的に売られ過ぎた株はリバウンドすると言われている(平均に回帰する)
  • 逆張りの考え方はわかりやすくて、日本人の気質に合っている

ただし、これら2点は正しく理解していないと思わぬ失敗をしやすいです(後で述べる、失敗しやすい理由につながっています)。まずは上記2点について、以下で詳しく解説します。

短期的に売られ過ぎた銘柄はリバウンドすると言われている

株価は平均に回帰しようとする性質があるといわれます。つまり、短期的に株価が上がり過ぎた銘柄は下落しやすいし、逆に下がり過ぎた銘柄は元に戻ろうとするということです

したがって、短期的に売られ過ぎた株を買えば、その後のリバウンドで利益を出しやすいと考えられます。そのため、売られすぎ株は注目されやすいです。

売られ過ぎ株の指標としてよく使われるのは、RSI(相対力指数)

RSI(相対力指数)は一定期間における「値上がり幅」と「値下がり幅」の比率を活用して、買われすぎ・売られすぎを判断する指標です。

具体的には一定期間における「上昇した日の値幅の合計」と「下落した日の値幅の合計」を求め、以下の式を用いてRSIを求めます。

RSIの計算式

RSIの計算式

期間は使う人によっていろいろですが、14日間というのが一般的なようです。RSIの判断基準もいろいろありますが、一般的には以下のように判断されることが多いです。

  • 70を超えると買われ過ぎ(下落する懸念がある)
  • 30を下回ると売られ過ぎ(リバウンドで上昇しやすい)

RSIは短期的な売られすぎを判断する指標として便利です。しかし、RSIには問題点があり、うまくいく場合は限られています。RSIの注意点については後の「失敗しやすい理由」で述べます。

逆張りの考え方はわかりやすくて、日本人の気質に合っている

逆張りとは株価が下がっているときに買い、株価が上がっているときに売ることです。相場の流れに逆らって投資することから、逆張りと呼ばれます。

逆張りは安いときに買って、高いときに売るという、わかりやすさがメリットです。逆張りは日本人の気質に合っているともいわれ、日本人の投資家に人気があります。

一方、外国人投資家は順張りを好むといわれます。順張りとは株価が上がっているときに買い、株価が下がっているときに売ることであり、相場の流れに沿って投資する方法です。

順張りと逆張りの考え方は正反対ですが、局面によってどちらが有利かは変わるため、一概にどちらが正しいとはいえません。

しかし、人によって好みや得意・不得意があります。日本の個人投資家は逆張り派が多いといわれますが、順張りのほうが得意であれば順張りでもよいと思います。個人の特性に合わせて好きなほうを用いるとよいです。

売られ過ぎ株を安易に買うと失敗しやすい理由(デメリット)

上記では売られ過ぎた株を買うことのメリットを述べました。しかし、逆にデメリットもあり、安易に売られすぎ銘柄に投資すると失敗することが多いです。その理由として、以下の2つがあります。

  • ボックス相場を前提としているため、状況が変わったら対応できない
  • 売られ過ぎているように見えても、まだ株価が割高な場合がある

それぞれについて、以下で詳しく解説します。

ボックス相場を前提としているため、状況が変わったら対応できない

ボックス相場というのは、「株価が一定の限られた範囲内で上下している状態」のことを言います。

上記で、株価は平均に回帰する性質があるといいましたが、これはボックス相場という限られた状況でのみ有効な話です。

もし、何らかの大きなニュース(業績の大幅修正、新製品の開発、大事故・災害、政治的なニュースなど)が起きて、企業のおかれている状況が変わった場合、ボックス相場ではなくなってしまいます。そのため、株価は平均に回帰することがなく、突き抜けてしまうことがよくあります。

RSIなどの指標を使って株価の割安さを判断している場合、思わぬ大失敗をしがちなので気を付けないといけません。

短期的に売られすぎたからといって、安易に手を出してはいけない銘柄の例

イメージしにくいかもしれませんので、具体例を用いて説明します。

たとえば、2018年に、融資先のかぼちゃの馬車(シェアハウス)の賃料不払い問題や不正融資問題などが次々と明らかになったスルガ銀行の株価チャートを見てみましょう。

スルガ銀行の株価チャート

スルガ銀行の株価チャート

問題がニュースで大きく取り扱われるようになった2018年1月以降に急速に株価が下落しています。

一方、売られすぎ株の指標としてよく使われる、RSI(相対力指数、上図の下段チャート)をみると、2018年2月に20以下になっており、その後もたびたび20を割り込んでいます。

一般的にはRSIが30以下で売られすぎの状態といわれるため、RSIでみればスルガ銀行株は明らかに売られすぎですね。RSIを信じるなら投資すべき局面ですが、下手に投資したら大損していたことは上図の株価チャートから明らかです(結局、スルガ銀行の株価は1年間で約1/5に下落しています)。

ここで大事なのは、問題が発覚する前と後ではスルガ銀行のおかれている状況が一変していることです。もし多額の融資が貸し倒れに終わった場合、スルガ銀行に多額の損失が発生するという懸念があります。

この場合、ボックス相場を前提とした売られすぎ株の指標RSIに意味はありません。業績悪化を考慮して株価を判断しなければいけないからです。

スルガ銀行の例に限らず、売られ過ぎている銘柄には何らかの理由があることが多いです。単に売られ過ぎているからという理由で投資するのはおすすめできません

売られ過ぎているように見えても、まだ株価が割高な場合がある

RSIなどの指標で売られ過ぎと見える銘柄でも、まだ株価が割高な場合もあります。

特に成長期待が高い人気銘柄は株価が高くなりすぎていることが多いため、多少安くなったとしてもまだ割安とはいえない場合があります。

売られ過ぎているように見えても、まだ株価が割高な銘柄の例

たとえば、ソフトバンクグループのITバブル(2000年前後)時代の株価を見てみましょう。

ソフトバンクグループの株価チャート

ソフトバンクグループの株価チャート

最高値は2000年2月の約20000円です。ITの将来性に熱狂的だった時期であり、収益性からみた割安度の指標PER(株価収益率)は1999年3月期の実績に対して約500倍でした。

PERの平均値は15~20倍くらいといわれており、小さいほど割安という指標です。当時のソフトバンクグループのPERは約500倍ですから、株価は超割高だったといえます。

その後、ITバブル崩壊とともにソフトバンクグループの株価は急落しました(1年間で株価は1/10以下になりました)。もし急落中に「株価がある程度下がったから割安だ」と思って投資していた場合、さらなる急落に巻き込まれて大損していたと考えられます。

つまり、日本人が好きな逆張り投資法は以前の株価が適正だと仮定した場合に成り立つものです。もし以前の株価が割高だった場合、多少安くなったからという理由で投資すると失敗することが多いです。

株価の割安さを判断するには、業績と財務に着目するのがおすすめ

株価が割安な株を探したいなら、株価自体の安さをみるのではなく、業績や財務のよさと比較するとよいです。

基本的に業績・財務のよい銘柄は株価が高いことが多いです。しかし、知名度がない銘柄(たとえば、中小企業)の中には業績・財務が良いのに割安な銘柄も隠れています。このような銘柄であれば、いずれ業績・財務の良さに注目が集まり、株価が修正される(つまり、株価が上昇する)だろうと期待できます。

株価の割安さを判断するときは、業績・財務がよい割安株を探すのがおすすめです。

割安株を探すには企業価値評価手法がおすすめ

業績や財務に対して株価の割安さを診断する方法はいろいろあります(たとえば、PERやPBRを使うという方法があります)。

その中で、私が実際に活用していて、おすすめしたいのは、企業価値評価手法(バリュエーション)を使って理論株価を計算する方法です。

企業価値評価手法は、M&Aなどの場面で企業の買収価格を計算するときに使われる手法です。収益性と資産性を総合的に評価することで、合理的に企業価値(株主価値)を計算できます。

企業価値を1株当たりの金額に換算したものは理論株価と呼ばれ、割安度の目安になります(たとえば、実際の株価が理論株価より安ければ割安です)。図で表すと、以下のイメージです。

理論株価による投資判定

理論株価による投資判定

企業価値評価手法による割安度の診断方法については、以下の記事にまとめてあります。詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ。
理論株価(適正株価)の計算方法と使い方の注意点。おすすめは企業価値評価手法

企業価値評価手法で割安株を見つけるなら、GMOクリック証券の財務分析ツールがおすすめ

企業価値評価手法は財務諸表を読み解かないといけないので、ある程度の手間がかかります。

もっと手軽に企業価値評価手法による理論株価を知りたいなら、GMOクリック証券 が無料で提供している財務分析ツールがおすすめです(口座保有者のみ閲覧可能)。

理論株価を簡易的に調べたいときに便利なので、私も参考値として使っています。さらに、理論株価に対する割安度でスクリーニングすることもできますので、割安株を簡単に絞り込むことができます。

無料で手軽に割安度を診断したいという方はGMOクリック証券 の財務分析ツール、スクリーニングツールを活用するとよいです。

まとめ

本記事では売られ過ぎた株に安易に手を出すと失敗しやすい2つの理由を紹介し、何を元に株価の割安さを判断するべきかについて私の考えを紹介しました。

売られすぎて株価が安くなった銘柄は注目を浴びやすいので、株初心者ほど手を出してしまいがちです。しかし、以前の株価と比べた割安さだけで投資判断をすると失敗しやすいため、あまりおすすめしません。

株価の割安さを判断するなら業績や財務に対する割安さで判断するとよいです。業績や財務で判断するというと難しく感じますが、GMOクリック証券 の財務分析ツール・スクリーニングツールを使えば手軽に割安株投資ができますのでおすすめです。

割安株投資は大失敗することが比較的少なく、成功しやすい投資手法として知られています(投資の神様とも呼ばれる、ウォーレン・バフェットも基本的に割安株投資家です)。株式投資で成功したいという方は、割安株投資を試してみることをおすすめします。

「割安株の判断基準があればいいのに」と思ったことがある方へ

実は、企業価値評価手法を使うことで、妥当な株価(=理論株価)は計算できます。

理論株価というと難しそうに感じますが、無料で使えるツールもありますので、実はそんなに難しくありません(もちろん活用する上で注意すべき点はあります)。

銘柄選びでいつも迷ってしまうという方には理論株価を使った割安株投資がおすすめです。

路井なびお

自称「優良銘柄選びのソムリエ」。長期投資ブログ「ロイナビ(Long term investment Navi)」の管理人。

長期・積立・分散投資を基本として、インデックス投資と個別株(日米株)投資を実践しています。

優良なバリュー株や低コストなインデックス投信について調査・分析するほか、私が用いている分析方法や便利なツールなどについても紹介しています。

ツイッターもやっていますので、よければフォローお願いします。

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