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投資の基本

長期投資と短期投資のメリット・デメリット。投資初心者におすすめなのはどちらか?

この記事ではこのような疑問にお答えします。

  • 「デイトレードに挑戦してみたけど、損してばかり。利益を出すにはどうすればよいのだろうか?」
  • 「長期投資がいいと聞くけど、なぜ長期投資がいいのか知りたい」
いろいろな投資雑誌やWebサイトを見ると、「短期のトレードの繰り返しで資産が1億円突破!」などという話があふれています。投資初心者の場合、多くの方が「短期投資」のイメージを持っているかもしれません。

しかし、短期投資は努力や経験だけでなく、センスも必要です。そのため、投資初心者が手を出すと失敗する場合がよくあります。

一方で、株式投資には長期投資というやり方があります(中間の中期投資もありますが、性質は長期投資に似ていますので、以下ではまとめて中長期投資と呼ぶことにします)。

中長期投資は投資初心者でも平均的に勝てる可能性が高く、メリットが多いです。特に、投資初心者や日々忙しいサラリーマンには、中長期投資がおすすめです!

本記事では、「短期投資と中長期投資の特徴を比較」し、「なぜ投資初心者やサラリーマンには中長期投資がオススメなのか」について、中長期投資の実例を交えてご紹介いたします。

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中長期投資と短期投資の特徴の比較

株式投資には、いろいろな投資スタイルがあります。

代表的な5つの投資スタイルを、短期投資と中長期投資に分類すると、以下のようになります。

投資スタイルの分類

投資スタイルの分類

それぞれの特徴について、以下で簡単に説明していきます。

短期投資の特徴

代表的な短期投資手法は、以下の2つです。

  • デイトレード(投資期間は1日)
  • スイングトレード(投資期間は数日)

投資初心者にとっての株式投資のイメージは、デイトレード、スイングトレードであることが多いでしょう。両者ともやることはほぼ一緒であり、違いは投資期間だけです。

以下の図のように、短期間の価格変動を利用して、安くなったところで買い、高くなったところで売ることを短期間に繰り返していくことで利益を得ます。

短期投資における売買のイメージ図

短期投資における売買のイメージ図

予想通りに株価が変動すれば利益になりますが、予想が外れると損をしてしまいます。

投資初心者には短期投資をおすすめしない理由

短期投資の場合、株価の変動要因は需要と供給の関係です。売りたい人よりも買いたい人が多ければ株価は上がりますし、逆であれば株価は下がります。

短期投資で成功するには、世界中の投資家の行動を予想しないといけません。短期投資家は将来起きるであろうニュースや株価チャートから株価の需給を当てようとしますが、世界中の投資家が同じように予想を当てようと競い合っているため、当たる確率はほぼ1/2に近いと考えてよいです。

売買手数料の分、平均的にはマイナスとなり、利益が出ていない投資家のほうが多いです。

中長期投資の特徴

一方、中長期投資の場合、代表的な手法は3つあり、着目しているポイントが異なります。

  • バリュー(割安)株投資:株価が割安な銘柄に投資する
  • グロース(成長)株投資:高成長な企業に投資する
  • 高配当(+優待)株投資:配当や株主優待によるインカムゲインを目的に投資する

これらの投資期間は短くても半年~数年です。長い場合は永久保有する場合もあります。なぜこれらの手法の投資期間が長いかというと、中長期投資では企業の業績や財務内容などに着目しているからです。

将来、企業が稼ぐ利益が株価に反映されたり、配当として還元されたりするまでには時間がかかります。そのため、中長期投資の投資期間は数か月から数年という長いスパンになるのです。

長期投資で利益を得るまでのプロセスのイメージ図

長期投資で利益を得るまでのプロセスのイメージ図

投資初心者には中長期投資がおすすめな理由(3つのメリット)

投資初心者やサラリーマンに中長期投資がおすすめな理由は、以下の3つです。

  1. 投資期間が長いほど、プラスのリターンが得られる可能性が高まる
  2. 売買手数料、税金によるコストが少ない
  3. 日中は忙しいサラリーマンでも、中長期投資ならば十分利益を出せる

それぞれの理由について解説していきます。

1.長期投資であるほどプラスのリターンを得られる可能性が高まる

デイトレード、スイングトレードのような短期投資の場合、業績による影響は小さいため、需給の予測(買う人が多いか、売る人が多いかを予測すること)が重要です。

需給の予測をするには、株価チャートを見て、過去の経験則から今後の値動きを予測します。これを、テクニカル分析、またはチャート分析と呼びます。

例えば、以下の株価チャートから予想して、「上がりそうならば買う」「下がりそうならば買わない(もしくは空売りする)」と決めるのです。

株価の予測のイメージ図

株価の予測のイメージ図

短期投資の場合、需給を予測して、的確なタイミングで売買できる人だけが利益を得られます。あなたは予想を当てられる自信がありますでしょうか?正直言って、少なくとも私は予想を当てる自信が全くありません。

なぜなら、同じように予想しようとしている人が日本中、世界中にたくさんいて、互いに競い合っています。過去には通用していた経験則が通用しなくなり、裏の読み合いによって株価が逆方向に振れることもよくあります。

また、チャート分析では「株価がどう考えても上がる」という局面だったとしても、経済に影響するニュース(例えば、アメリカ大統領が自動車に関税20%をかけると発言するなど)が流れるだけで相場は大崩れになります。この場合、いくらチャート分析しても、意味がありません。

短期投資で成功できる人ももちろんいますが、卓越したセンスと経験と努力が必要です。

中長期投資では、企業が稼いだ利益の一部を得るので期待リターンはプラス

一方、中長期投資の場合、業績や財務状況の調査・分析が重要です。

なぜなら、株価は長い目でみれば、本質的に企業の価値に連動するものなので、投資した企業が利益を得て成長していけば、株価は上昇していくはずです。

つまり、将来にわたって、赤字にならずに利益を出し続けるであろう会社に投資すれば、株価が上昇したり、配当金を得られたりすることが期待できます。

したがって、投資初心者でも平均的に勝ちやすいのは短期投資よりも中長期投資です。

中長期投資スタイルでは平均的に勝つことができることの具体例

中長期投資ならば投資初心者でも利益を出しやすいことの具体例として、世界経済の中心地であるアメリカの代表的な株価指数である、S&P500指数の例を見てみましょう。

S&P500指数とは、米国NASDAQに上場している株式の中から、代表的な500銘柄の株価を選び、株価を平均した値のことです。日本でいう、日経平均とかTOPIXのようなものです。

下図は、S&P500指数と、1株益(EPS)の推移です。

S&P500指数とEPSの推移

S&P500指数とEPSの推移(Standard & Poor’sのデータを基に作成)

EPSが大きいほど、企業が多くの利益を生み出していて、業績が良いことを意味しています。

EPSは激しく上下しながらも、長い目でみれば増加し続けています。そして、EPSの増加に伴って、S&P500指数は長期的に上昇し続けています。

つまり、S&P500の平均的な企業に投資していれば、投資初心者であってもプラスのリターンを得られたということを意味しています。

このように、中長期投資では、企業の成長に投資していますので、業績の向上とともに、長い目で見れば誰でも平均的にプラスのリターンを得ることができます。

もちろん良い企業を選べば、さらに大きなリターンを得ることも可能です。しかし、投資初心者であっても平均的に、そこそこのリターンを得られるというのが一番の利点です。

長期投資が大きなリターンを得られるのは複利効果があるからです。その理由と複利効果を最大化する方法については以下の記事にまとめましたので、詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ。
長期投資の最大のメリットは複利効果。運用シミュレーションによる計算法

2.中長期投資は売買手数料、税金によるコストが少ない

中長期投資がオススメな理由の2つ目は、取引にかかる手数料です。

株式投資では、取引を行うごとに売買手数料がとられます(NISA口座では無料の場合もありますが、年間の投資金額が限られます)。

また、利益が出た場合には税金で約20%(所得税約15%、住民税5%)が徴収されてしまいます。売買手数料、税金が運用のコストになるため、売買を繰り返すと、運用成績にも大きな影響が出ます。

例えば、最大手のネット証券であるSBI証券の手数料は、以下のようになっています。

SBI証券の売買手数料

SBI証券の売買手数料

・短期投資の場合のコスト
もし、100万円をデイトレードして、1年で2倍にできたと仮定した場合のコストを計算してみましょう。

100万円までの手数料は1日あたり822円(アクティブプラン)であり、年間200日取引するとしたら、売買手数料は約16万円です。

さらに、手数料を除いた利益84(=100-16)万円に対して税金が約20%かかりますので、税額は約17万円です。

合計すると、約33万円のコストがかかることになります。
100万円の利益のうち、33%がなくなってしまう計算です。

・中長期投資の場合のコスト
一方、100万円の中長期投資(取引数は1回)により、1年で2倍にできた場合のコストを計算してみます(売却せずに翌年に持ち越すとする)。

1注文の売買手数料は525円(スタンダードプラン)であり、売却もしないので、税金は発生しません。総コストはわずか525円であり、100万円の利益に対して、コストは0.05%です。

この場合、利益を繰り越しているだけなのでいつか売却したときに税金がとられますが、それでも約20%です。

したがって、本来の利益は同じ100%であっても、コストを含めた運用利回りでみると、短期投資67%に対して、中長期投資は100%(株を売却したとしても約80%)です。

コストで考えれば、短期投資と長期投資の差は歴然です。

取引の回数が少ないほど売買手数料、税金でとられる分が少なくなりますので、コストの面では中長期投資のほうが有利です。

短期投資と中長期投資のコストの比較

短期投資と中長期投資のコストの比較

3.長期投資は日中、忙しいサラリーマンでも十分利益を出せる

多くの方は、日中はサラリーマンとして働いていて忙しいです。

デイトレードやスイングトレードの場合、短期間の相場の変動を利用して利益を得ますので、チャートの動きが気になってしまいがちです。

短期投資で成功するためには、専業で取り組むか、平日の昼間に家にいられる人でないと厳しいです。

副収入を得る方法として株式投資をやっているのに、本業がおろそかになってしまったら、本末転倒です。

一方、中長期投資の場合、利益の源泉は企業の業績です。事業が進展するには時間がかかりますから、日々の相場を追い続ける必要はありません。終業後に自宅で情報収集すればいいだけです。売買の指示も夜間に設定しておくことができます。

日々の株価変動を気にしなくてもよいため、サラリーマンのライフスタイルに合っている投資法は中長期投資なのです。

株式投資の銘柄選びでは最初からうまくいく人は少ないです。いろいろ失敗して初めて理解することも多いので最初は単元未満株を使って少額から分散投資するとよいです。

単元未満株なら1株から買えるため、たとえ失敗しても損失は限定的というメリットがあります。安心して始められるので、株式投資の練習用として便利です。

中長期の株式投資はハイリスク?(本当にデメリットか?)

一方で、中長期投資はハイリスクであり、短期投資はローリスクだといわれることが良くあります。

言葉としては間違っていませんが、かといって短期投資は「安全」だというわけではありません。これは、なぜでしょうか?

金融の世界では、リスクは「不確実性の大きさ」を意味する

まず初めに、リスクの定義についてですが、株式投資等の金融の世界では、リスクとは「危険」ということではなく、「不確実性が大きい」ということを意味しています。

上がるにしろ、下がるにしろ、変動幅が大きいことをリスクが大きいといいます。そのため、ハイリスクということはチャンスが大きいという意味でもあります。

考えてみれば当然のことですが、3日後の株価を予想するよりも、3年後の株価を予想するほうがはるかに難しいです。つまり、投資期間が長くなるほどリスク(不確実性)が高いのは当然であり、中長期投資がハイリスクというのは間違いありません。

同じ投資期間で比べたら本質的なリスクは同じ

ただし、短期投資のほうが「安全」というわけではありません。

なぜなら、1日の変動幅は小さくても毎日繰り返していたら、1年間の変動幅は大きくなると予想できます。

「短期投資で失敗を繰り返していたら、1年で資金が半分になってしまった」ということはよくあります。

結局、1取引あたりでの比較ではなく、同じ投資期間で比較すれば短期投資も中長期投資も本質的なリスクに優劣はありません

大事なのは、期待リターンがプラスであること

中長期投資の場合、企業の成長による株価向上が利益の源泉ですから、経済が発展していく限り、平均的なリターンはプラスになります。

全体をトータルするとプラスになるという意味から、中長期投資はプラスサムゲームだといわれます。つまり、すべての投資家の成績を平均したら、プラスになるということです。

一方、短期投資の場合、株価が上がるか下がるかの予想の正しさが利益の源泉ですから、得する人もいれば、損する人もいます。合計すればほぼゼロですが、手数料や税金の分、むしろマイナスになってしまいます。

つまり、短期投資は元来、プラスマイナスがゼロのゲームであり、手数料や税金を考慮すればむしろマイナスになる人が多いゲームなのです。

短期投資で成功できる人もいますが、ほんの一握りです。実際、多くの人が失敗しているのが現実です。頑張って稼いだ、資金(給料)を活用して投資するならば、投資初心者でも勝つ可能性が大きい中長期投資がおすすめです。

中長期投資の実例

ただ、投資初心者にとって株式投資は相場を読むことが大事だという印象は簡単にぬぐえないかもしれません。

私はあまり相場を読むのがうまくなく、読みを外して後悔することも多いです。しかし、中長期投資のスタンスならば、それでも利益を出すことが可能です。

私が投資した銘柄の中から、実例を1つ挙げたいと思います。

「データ・アプリケーション」への投資の例

私が2016年に購入したのが、「データ・アプリケーション」です。

データ・アプリケーションは、企業間の電子商取引におけるデータ交換ソフトを販売している会社です。企業を相手にしたビジネスをしているので、一般消費者にはあまり知られていませんが、大手企業などとも取引があり、シェアNo.1の企業です。

データ・アプリケーションの長期の業績推移をみると、リーマン・ショックのころに一時低迷していますが、それ以降はほぼ右肩上がりです。財務内容もよく、今後も業績の拡大が期待できるのに株価が割安であると考えて購入しました。購入時の単価は1100円くらいでした。

データ・アプリケーションの業績

データ・アプリケーションの業績(~2016年)

購入したのちは、基本的に業績の推移を見守るだけです。四半期ごとに決算報告書を見ていましたが、順調な業績拡大が続き、株価も徐々に上がっていきました。(2018年の売り上げは少し下がっていますが、利益は維持しています。利益の質が良くなっているのです。)

データ・アプリケーションの業績2

データ・アプリケーションの業績(~2018年)

株価は一時、2300円を超えたこともあります。買値の2倍以上になったわけです。

データ・アプリケーションの株価

データ・アプリケーションの株価

しかし、2018年4~6月期の業績に陰りが見えたため、売却しました。高値からはだいぶ下がってしまいましたが、それでも1800円で売却できました。

以下が実際の取引履歴です。

データ・アプリケーションの売買履歴

データ・アプリケーションの売買履歴

最初に200株を約22万円で購入し、2年間の保有後に36万円で売却しています。この間、2回の配当で合計約1万円を得ています。つまり、約2年間の保有で68%の利益を得られました(NISA口座で買ったので、税金は0円です)。

上手な人であれば高値から下がってきたところで、業績の低迷を感じ取って売却できたのかもしれません。しかし、それができなくても十分な利益は得られました。

相場を読むのが下手でも、企業をよく分析したうえで、「競争力が高く、利益率が高いビジネスをしている」「業績が伸びている」「株価が割安である」などの特徴がある会社に長期投資すれば、株価は応えてくれるということの実例です。

相場を読むことによほど自信がある人以外は、短期投資よりも中長期投資がオススメです。

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まとめ

株式投資といえば一般的には短期投資のイメージが強いです。しかし、実は中長期投資のほうが勝てる可能性は高く、メリットが多いことがお分かりいただけましたでしょうか。

中長期投資で成功するには、もちろん企業分析が大事ですが、基本的に「儲かっていて、成長する企業」の「株価が割安」なときに投資するだけです。チャート分析と比較するとずっと再現性がありますので、投資初心者でも取り組みやすく、努力や経験次第で分析力を高めていきやすいです。

中長期投資で結果を出すには、時間が必要です。経験を積んで、自分なりの勝ちパターンを見つけるのにも時間がかかります。中長期投資の良さを理解していただけたならば、まずは少額から投資を始めてみるのがおすすめです。

少額から投資したいなら、単元未満株を使うのもおすすめです。単元未満株なら1株から売買できますので、通常の単元株取引(100株単位)よりぐっと投資しやすくなります。

私の場合、SBIネオモバイル証券を使って、1~3株くらいずつ定期的に積立投資しています。SBIネオモバイル証券を使えば、格安な手数料で1株ずつ売買できるので、リスク小さく始められて便利です。

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