- 「高配当株への投資で損することはないだろうか?」
- 「高配当株が良いという理由だけでなく、どういうリスクがあるのかを知りたい」
一方、高配当株に投資したら、株価下落が止まらなくて塩漬けになってしまったという方も多くいます。高配当株投資は本当に儲かるのか不安だという方も多いのではないでしょうか。
実は、高配当株投資法の優位性は後で紹介するように過去のデータでも裏付けられていますし、メリットが大きい投資法なのは間違いありません。大事なのは高配当株投資法のメリットとデメリット(リスク要因)を理解して、失敗しそうな銘柄を避けることです。
高配当株投資法は適切に運用できていれば、比較的失敗しにくくて堅実な投資方法です。これから長期投資を始めたいという方に適した投資法です。
本記事では高配当株のメリット・デメリットを紹介し、そのリスク要因と対処方法について解説します。
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高配当株投資手法には以下のメリットがあります。
- 株価の変動に比べて配当金は安定している
- 不況時でも現金収入があるので、心理的に再投資しやすい
以下で詳しく解説します。
メリット1:株価の変動に比べて配当金は安定している
株価は1日で10%変動することも珍しくないですが、配当は業績が堅調であれば減少する可能性は小さいです。日々の株価変動で一喜一憂したくないという堅実志向な方にとって、配当の安定感は魅力的です。
業績の悪化にだけは注意しないといけませんが、四半期ごとの決算をウォッチしていればよいので、あまり手間がかからないこともメリットです。
メリット2:不況時でも現金収入があるので、心理的に再投資しやすい
不況の時でも基本的に企業は配当を守ろうとします。なぜかというと、配当を減らしたり、無配にしたりするのは経営の失敗という烙印を押されかねないからです。そのため、一時的に業績が悪くても企業体力に問題がなければ配当を維持することが多いです。
そのため、高配当株を保有していれば、不況時でもそれなりの現金収入が得られます。なぜ不況時の現金収入がありがたいかというと、投資で難しいのは不況の時でも投資を続けることだからです。
不況のときは投資に対する不安をあおるような情報が溢れますので、その中で投資するのは勇気がいります。しかし、不況はいつか終わるものであり、不況の時こそ実は優良銘柄を割安に買うチャンスです。
高配当株を保有していれば、以前と変わらず現金収入がありますので、心理的に再投資しやすいです。不況を抜け出した時にはそれまでの再投資の成果が現れて、大きなリターンが得られます。
配当金の最大のメリットは、不況時の再投資を心理的にバックアップする効果です。
配当再投資による長期的リターンの例
配当再投資戦略(成熟した企業の中から配当利回りが高い銘柄を選び、受け取った配当金を不況時も常に再投資し続けること)のメリットをわかりやすく示したのがアメリカのジェレミー・シーゲル教授です。
例えば、シーゲル教授は著書『株式投資の未来』の中で、以下の6パターンで投資した場合の長期的なリターンを比較しています。
- ダウ30種(ダウ平均のこと)
- S&P500
- ダウ10種(上記のダウの犬投資法)
- ダウ・コア10種(ダウ30種で過去15年間に一度も減配していないグループから選んだ10種)
- S&P10種(S&P500でダウの犬投資法をした場合)
- S&P コア10種(S&P500で過去15年間に一度も減配していないグループから選んだ10種)
その結果が下図です。
S&P500やダウ30種(上記パターン1,2)でも年率11~12%のリターンが得られます。一方、配当利回りの高い銘柄を選んで配当金を再投資する(上記パターン3~6)と、さらに利回りが上がる(14~16%)ことがわかります。
特に、上記パターン3~6では、不況時のマイナス幅が小さくなっており、比較的安定した成長が見込めるという特徴があります。なぜなら、配当が多い企業は不況時でも配当の高さが株安のクッション材となる効果があるからです。
そして、不況の時に配当金で買い増した分が好況になったときに花開いて、大きなリターンを得られます。これが配当再投資戦略のメリットです。
高配当株投資法のデメリットと対処法
一方、高配当株投資手法には以下のデメリットがあります。
- 減配(配当金が減ること)のリスクがある
- 配当を受け取るたびに税金がかかるので、複利効果が働きにくい
- 忍耐力が必要(資金力がないと増えにくい)
以下で詳しく解説します。
デメリット1:減配のリスクがある
高配当株投資で最も気を付けるべきなのは、減配(配当金が減少すること)のリスクです。
基本的に経営者は減配になることを避けようとするので、よほどのことがない限り、配当を維持しようとする場合が多いです。しかし、業績が悪化しすぎて大赤字になったり、業績低迷が長期間続いたりすると、減配や無配(配当金を無しにすること)になる場合があります。
業績が悪い高配当株は、配当利回りの高さに支えられて株価が割高になっていることが多いです。株価を支えていた配当利回りが低下してしまうと、投資家からの人気がなくなり、株価が急落する恐れがあります。
したがって、配当利回りが高いからといって、業績が低迷し続けている銘柄に投資するのはおすすめできません。
対処法:業績が好調だけれども高配当な銘柄を選ぶ
減配のリスクへの対処方法はシンプルです。「業績が好調で将来期待があるけれども、高配当な銘柄を選ぶ」ことです。
高配当銘柄の多くは業績懸念で配当利回りが高くなっているケースが多いですが、中には業績が良い銘柄も少数ですがあります。長期投資するなら、このような銘柄が狙い目です。
高配当株投資に適した銘柄の選び方について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
デメリット2:配当を受け取るたびに税金がかかるので、複利効果が働きにくい
もし配当がなければ企業の内部留保となって、長い目で見れば株価の上昇につながります。この場合、税金を繰り延べることになりますので、複利効果が働きやすくなります。
一方、配当を受け取ると、税金(所得税と住民税で約20%)がかかります。再投資するときは税金を差し引いた後の金額で投資することになりますので、複利効果が働きにくくなります。
配当のデメリットは税金がかかることです。
対処法:NISAを活用するのがおすすめ
税金による目減りをなくすための唯一の方法は、NISA制度を活用することです。NISAは年間の上限額がありますが、配当金に関する税金が0円になりますのでお得な制度です。
NISAには通常のNISA口座、積立NISA口座、ジュニアNISA口座の3種類があります。以下のような違いがあります。
NISA | 積立NISA | ジュニアNISA | |
---|---|---|---|
対象年齢 | 20歳以上 | 20歳以上 | 19歳以下 |
年間投資限度額 | 120万円 | 40万円 | 80万円 |
非課税期間 | 5年 | 20年 | 5年 |
途中での引き出し | 可 | 可 | 可(18歳までの払い出しは課税) |
対象商品 | 株、投資信託、ETF、REIT | 一部の投資信託 | 株、投資信託 |
制度終了年 | 2023年 | 2037年 | 2023年 |
成人が個別株でNISAを活用するならば、通常のNISA口座を使用することになります。年間120万円までの投資に限られますが、5年間で最大600万円分であり、一般の個人投資家にとって結構な金額です。
配当に関する税金を節税するには、NISA口座を活用するのがおすすめです。
デメリット3:忍耐力が必要(資金力がないと増えにくい)
高配当株投資手法は基本的に長い時間がかかります。
例えば、100万円を配当利回り4%の銘柄に投資した場合、年間の配当金額は4万円です。配当を再投資したとしても2倍に増えるまでに約18年かかります(複利で計算)。配当で資産形成するには忍耐が必要なのです。
しかし、資金をためて投資金額が1000万円を超えると、年間の配当金額が40万円になります(配当利回り4%の場合)。このあたりから配当再投資の効果(複利効果)が大きく働き始めるため、運用の成果が実感できるようになります。
最初のためる時期はつらいですが、ある程度貯まれば再投資が楽しくなります。忍耐は必要だけれども安定的に資産を増やしたいという方には高配当株投資がおすすめです。
対処法:高配当株のことは忘れて投資し続ける
忍耐力については精神的なものなので対処法は特にありませんが、しいていえば、株を購入するとき以外、その存在を忘れることです。
配当金のことを意識しすぎると、全然増えないと思って挫折してしまうかもしれません。こつこつ投資しつつ、買った後のことは忘れておくことが大事です。
まとめ
本記事では高配当株のメリット・デメリットを紹介し、そのリスク要因と対処方法について解説しました。
高配当株投資法は比較的安定していて堅実な投資方法です。減配のリスクには注意しないといけませんが、業績がある程度順調な銘柄を選んでいれば失敗することは少ないです。高配当株投資は、これから長期投資を始めたいという方におすすめな投資方法です。
一方、高配当株で利益を得るには通常、長い時間がかかります。将来、お金のことで苦労したくないなら、なるべく早めに投資を始めることをおすすめします。
少額から投資したいなら、単元未満株を使うのもおすすめです。単元未満株なら1株から売買できますので、通常の単元株取引(100株単位)よりぐっと投資しやすくなります。
私の場合、SBIネオモバイル証券を使って、1~3株くらいずつ定期的に積立投資しています。SBIネオモバイル証券を使えば、格安な手数料で1株ずつ売買できるので、リスク小さく始められて便利です。