- 「長期投資をしたいけど、どうやって銘柄選びをしていいかわからない。」
- 「隠れたお宝株を発掘するには、どうすればいいのだろうか?」
長期投資における銘柄選びでは、投資初心者ほど日常生活で身近な企業やテレビで話題の企業などから選びがちです。私も最初は自分がよく知っている製品やサービスを提供している優良会社に投資していましたので、その気持ちはよくわかります。
しかし、みんながよく知る優良銘柄に長期投資しても、あまり儲からないことがよくあります。なぜなら、すでに良さが知れ渡っている銘柄は株価が割高になっており、チャンスがあまり多くないからです。
では、あまり有名ではないけれども、優良な銘柄を発掘するにはどうしたらいいでしょうか?
長期投資に適した銘柄にはいくつかの特徴があり、投資指標で表すことができます。投資指標をもとに優良銘柄を抽出すれば、自分が知らない優良銘柄でも発掘することが可能です。
本記事では、長期株式投資における銘柄選びのポイントと、実際に銘柄選定をするときの手順(スクリーニング)について紹介します。
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優良銘柄選びの4つのポイント
長期投資の銘柄選びにおいて大事なポイントは以下の4つです。
- 業績が成長している
- 利益率が高い
- 株主還元に積極的である
- 割安である
その意味や調べ方については以下の記事でまとめました。
長期投資における銘柄の選び方の4つのポイントと、おすすめな日本株・米国株の例
上記の記事のやり方を用いれば長期投資に適した銘柄選びが可能ですが、日本の上場企業は約3700社もあります。全部調べたら、途方もない時間がかかってしまいます。
専業の投資家であれば可能ですが、普段会社勤めをしている多くの投資家にそんな時間的余裕はないでしょう。
そこで、ぜひ活用したいのが、各証券会社が無料で提供しているスクリーニングツールです。以下ではスクリーニングツールを用いた銘柄選びの方法について解説します。
株のスクリーニングツールによる銘柄選びの手順
スクリーニングツールとは、売上高や利益などの数値を組み合わせた条件を指定して検索することで、条件に該当する銘柄を簡単に抽出できるツールのことです。
例えば、楽天証券 であれば以下の条件で検索できます。
楽天証券はスクリーニング条件が多くて、使いやすいのでおすすめです。
ここでは、楽天証券のスクリーニングツール「スーパースクリーナー」を例として、スクリーニングツールの使い方を説明します。例として、上で述べた銘柄選びの4条件で検索することにします。
まず、楽天証券にログイン後、「国内株式」-「スーパースクリーナー」をクリックします。
市場の選択
次に、上場市場の範囲を選択します。中心的な市場は東証1部ですが、他の市場にも優良企業はあります。ここでは、個別企業の株式とは性質が異なるETF(上場投資信託。多数の株式や債券などで運用される金融商品)とREIT(不動産投資信託。不動産への投資を行い、賃貸収入や売却益を投資者に配当する金融商品)以外はすべて選択することにします。
業績の成長に関する検索条件の追加
次に、業績の成長に関する検索条件を追加します。詳細検索項目の「検索条件を追加」をクリックします。詳細検索項目をみると、利益に関する変化率の項目はありませんので、ここでは「売上高変化率」のみを対象とします。「売上高変化率(%)」をクリックします。
いつに対する変化率か、および何%以上で検索したいかを設定します。
利益率に関する検索条件の追加
同様に、利益率に関する検索条件を追加します。「検索条件を追加」をクリック後、「売上高営業利益率(%)」をクリックします。
何%以上にしたいかを設定します。
株主還元に関する検索条件の追加
次に、株主還元に関する検索条件を追加します。自社株買いについての項目はないので、ここでは配当利回りを検索条件とします。「検索条件を追加」をクリック後、「配当利回り(%)」をクリックします。
何%以上にしたいかを設定します。東証1部の平均配当利回りは1.5~2%くらいなので、ここでは2%以上としました。
株価の割安度に関する検索条件の追加
次に、株価の割安度に関する検索条件を追加します。割安度の指標はいろいろありますが、ここでは代表的な指標としてPERとします。「検索条件を追加」をクリック後、「PER(株価収益率)(倍)」をクリックします。
何倍以下にしたいかを設定します。PERの適正値は15~20倍といわれているため、ここでは20倍以下としました。
スクリーニングの結果
以上のスクリーニングの結果、全上場企業約3700社の中から、条件に適合する57の企業を抽出することができました。全上場企業の約1.5%に絞り込んでいますので、企業分析にかかる時間を大幅に短縮できます。
長期投資におすすめな銘柄(日本・米国株)と銘柄選びの4つのポイントの記事で長期投資におすすめな中小型銘柄の具体例として挙げた「プラップジャパン」も抽出できています。
このようにして、長期投資に有望な企業を絞り込むことができます。
スクリーニングツールはいろいろな証券会社が無料で提供していますが、中でも楽天証券 の「スーパースクリーナー」はスクリーニング条件が豊富なので使いやすくておすすめです。
割安株投資に適した機能をもつスクリーニングツール
あらかじめ用意されているスクリーニング条件は証券会社ごとに異なります。用途に応じて使い分けるとよいです。
もし割安株投資に興味があるのであれば、以下の2つを使うと便利です。
- GMOクリック証券 のスクリーニングツール(理論株価による割安度で絞り込める。口座保有者は無料で使える)
- 楽天証券 のスクリーニングツール(EV/EBITDA倍率による割安度で絞り込める。口座保有者は無料で使える)
理論株価による割安度やEV/EBITDA倍率は対応しているツールがあまりないのですが、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)よりも合理的に割安度を測ることができるので便利です。
詳しくは以下の記事で紹介していますので、よければこちらの記事もどうぞ。
初心者におすすめな割安株の見つけ方(スクリーニングによる探し方)と注意点
各証券会社が提供している無料のスクリーニングツールは、もともと用意されているスクリーニング条件しか使用できません。そのため、複雑な条件式を使ったスクリーニングはできないという限界があります。
一方、会社四季報CD-ROMを使うと、自分で条件式を作成することができます。複雑なスクリーニングも自由自在ですので、大変使い勝手がいいです。
例えば、以下のEV/EBIT倍率(割安度を判定する指標のひとつ)のような条件式を作成することもできます。
本記事で割安度の指標として使っているPERは、簡単に使うことができてどの証券会社のスクリーニング条件にもある代表的な指標です。しかし、簡単であるがゆえに分析できることに限界があります。
多面的に割安度を分析するには、複雑な計算をしないといけないため、自分で条件式を作成可能な会社四季報CD-ROMは便利です。
会社四季報CD-ROMの難点は価格が高いことですが、強力な分析機能があるため、本気で株式投資に取り組みたい人にはおすすめです。株式投資の銘柄選びで失敗しないための注意点
スクリーニングは過去の業績から条件に合う企業を機械的に抽出しただけです。抽出された企業が全部長期投資に適しているわけではありません。
例えば、上記で抽出された企業の中には、業績が安定的に成長しているのではなく、一進一退を繰り返している企業もあります(スクリーニング条件が3年前と現在の比較となっているためです)。
ほかにも問題があって、長期投資に適さない企業があるかもしれません。さらに詳細に企業調査をして、価値ある銘柄を厳選する必要があります。
特に、長期投資で失敗しないためには、次の2点に注意が必要です。
業績の持続性は自分で判断しないといけない
過去の業績が着実に成長している企業において、その原動力は何かを考える必要があります。
例えば、急成長している企業の中には、一時的なブームで業績が拡大している場合があります。よくある例がゲームなどのエンターテインメントの会社です。人気が出てきた時は爆発的に業績が拡大しますが、生活必需品というわけではないのでブームが去ると、急速に業績が停滞、もしくは悪化する傾向があります。
過去の業績の数字だけで投資をすると、思わぬ大失敗をすることがあります。
一方で、社会全体の変化や独自のビジネスモデルが理由で業績が成長している企業であれば、今後も競争力を維持できて業績を拡大できるだろうと考えられます。
例えば、ユニクロを運営するファーストリテイリングやホームセンター大手のニトリは、自ら製品を作って消費者に直接販売する「製造小売り(SPA)」の事業を確立することで、高品質でも低価格な製品を届けることができるようになり、長年高成長を実現し続けました。その結果、株価も大きく成長しています。
業績が持続的に拡大する銘柄を見つけるには、その事業内容をよく理解して将来性を慎重に判断する必要があります。
配当利回りの高さを重視しすぎない
長期投資の際、配当利回りを重視する方が多いと思いますが、配当は定期預金金利などと違って、確定したものではありません。将来の業績が悪化すれば、減配(配当が減ること)や無配(配当が0円になること)もありえます。
高配当株の中には配当利回りが5~6%であるものもありますが、業績悪化を懸念して株価が安くなっているために配当利回り(=1株あたり配当金/株価)が高くなっている場合があります。
配当利回りの高さにとらわれず、将来の業績を重視して銘柄選びを行うほうが長期投資で成功しやすいです。
日本株・米国株の選び方についてのおすすめ記事はこちら:まとめ
本記事では、長期投資における銘柄の選び方について、具体的な手順を挙げて解説しました。実際には、将来の業績が順調に成長するかという不確実な要素が絡むため、いくら分析しても百発百中なんていうことはあり得ません。しかし、少なくとも明らかによくない銘柄は避けることができますので、成功の可能性を高めることは可能です。
長期投資で成功したいのであれば、銘柄の分析力向上は必要不可欠です。SBI証券や楽天証券、マネックス証券などが提供しているスクリーニングツールは心強い武器になりますので、まずは実践しながらコツを学んでいくのがオススメです。
少額から投資したいなら、単元未満株を使うのもおすすめです。単元未満株なら1株から売買できますので、通常の単元株取引(100株単位)よりぐっと投資しやすくなります。
私の場合、SBIネオモバイル証券を使って、1~3株くらいずつ定期的に積立投資しています。SBIネオモバイル証券を使えば、格安な手数料で1株ずつ売買できるので、リスク小さく始められて便利です。