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投資の基本

長期投資でおすすめの戦略の種類(4つ)と銘柄選択手法

この記事ではこのような疑問にお答えします。

  • 「長期投資が良いと聞いたけど、どういう投資戦略や手法があるのか知りたい」
  • 「長期投資で失敗しないためのノウハウを知りたい」

一口に長期投資といっても、そのやり方は様々です。同じ長期投資でも銘柄選びの方法は人によって大きく違います。具体的な手法を理解しないで行うと大失敗をしてしまいかねません。

とはいえ、長期投資は企業の利益の一部を株主が享受する投資法です。やり方を間違えなければ成功する可能性は比較的高いです。長期投資戦略をよく理解して実行できるようになれば、あまり時間をかけなくても稼げる手段になります。

本記事では「株式の代表的な長期投資戦略と銘柄選択手法」について紹介します。

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株式投資における代表的な長期投資戦略

株式で長期投資する場合、銘柄の選び方や投資期間、売却の仕方などでいろいろな投資戦略(投資スタイル)があります。以下で代表的な手法の特徴、およびオススメな投資手法について解説していきます。

長期投資と短期投資のメリット・デメリットの比較については以下の記事にまとめてあります。詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。
投資初心者は長期投資がおすすめ。短期投資とメリット・デメリットを比較

大きく分けるとインカムゲインとキャピタルゲイン目的の2つ

投資による利益は、キャピタルゲインインカムゲインの2種類があります。

キャピタルゲインというのは、売買による利益です。つまり、安く買って高く売ったときの利益です。一方、インカムゲインというのは、配当や株主優待などのように定期的に得られる利益のことです。

長期投資手法は、どちらを主な目的とするかで大きく2つに分かれます。

主な目的がキャピタルゲイン:

  • バリュー(割安)株投資
  • グロース(成長)株投資
  • インデックス投資

主な目的がインカムゲイン:

  • 高配当株投資(株主優待株投資も含む)

バリュー株投資、グロース株投資、インデックス投資は主にキャピタルゲインを目的としており、企業の経済的価値向上に伴う株価上昇が利益の源泉です。年単位の長期的な株価上昇を目的としていますが、時には数ヶ月という期間で株価が大きく上昇して利益が出る場合もあります。

一方、配当や株主優待は1年に1~2回の頻度が多く、配当や株主優待による利回りは、多くても毎年数%くらいです。そのため、高配当株投資は1年程度の保有で大きな利益が出るものではありませんので、必然的に数年〜数十年という長期間の投資になります。

したがって、4つの投資スタイルを整理すると、以下のイメージ図となります。

長期投資手法の分類

長期投資手法の分類

同じ長期投資でも投資期間と主な目的に違いがあります。

人によって運用手法はさまざま。自分に合った手法を選ぶと良い

主にどんな投資手法をとっているのか、当サイトのTwitterアカウントを使ってアンケートをとってみたところ、以下のような結果でした。

グロース株投資がやや少ないものの、他3つは僅差でした。

どの手法が適しているかは人によって変わりますので、どれが一番よいとは言えません。自分に合った手法を選ぶ必要があります。

長期投資でおすすめしたいのはバリュー(割安)株投資

どの投資手法が良いとは言いにくいですが、私が個人的に合っていると感じているのはバリュー(割安)株投資です。

バリュー株投資は財務分析や業績予測を元に株価が割安な銘柄に投資し、株価が見直されて上昇したときに利益を得るという手法です。

数ヶ月で上昇する場合もありますが、何年も停滞する場合もある点がデメリットです。しかし、もともと割安な株に投資しているので、値下がりした場合でも大きな損失になりにくいのがメリットです。

バリュー株投資でおすすめな銘柄の一例

バリュー株投資をイメージしやすいように、私が2017年9月に投資した天龍製鋸の例で説明します。

天龍製鋸は機械鋸(のこぎり)の老舗メーカーです。利益率が高くて業績は堅調であり、過去の利益が積み上がっている一方で、知名度がないことと成長期待が薄かったことから、株価は割安な状況でした。

たとえば、資産性による割安度の指標PBR(株価純資産倍率。株価を1株あたり純資産で割ったもの)がリーマンショック以降、長期間にわたって0.5倍程度になっていました。PBRは1倍以下で割安といわれる指標であり、かなり割安に放置されている状況でした。

私は後述の会社四季報CD-ROMを用いたスクリーニング(投資指標を用いて条件に合う銘柄を抽出すること)により、天龍製鋸の株価が割安に放置されていること、四季報予想では業績が上方修正されそうなことを知りました。

もともと割安な銘柄なので、下値不安は限定的であり、長期で保有し続けても安心できるという狙いで2017年9月に投資しました。

その後、四季報の予想通り、業績が上方修正されて注目を集めたのに伴い、株価が上昇しました。

天龍製鋸の株価チャート

天龍製鋸の株価チャート

長期保有のつもりで投資しましたが、結果的に短期間で上昇したため、2018年4~5月に売却しました。以下が私の取引履歴です。

天龍製鋸の取引履歴

天龍製鋸の取引履歴

2017年9月に合計約48万円で200株を購入し、配当を1回(計1.4万円)受けたのち、2018年4~5月に約67.5万円で200株売却しました。その結果、7~8ヶ月の保有で約19.5万円(約44%)の利益を得ました。

この例のように、業績が好調だけれど株価が割安な銘柄(バリュー株)に投資することで、割安さの修正による株価上昇で利益を得ることが可能です。

バリュー株投資では割安さの判断が重要

しかし、株価は需要と供給で決まるのに、どうして割安といえるのか疑問に思う方もいるかもしれません。たしかに株価は短期的には投資家の意向次第で決まりますので、割安さなんてよく分らないと思う方も多いでしょう。

しかし、株式には会社の共同オーナー権という側面もあります。株主は企業が保有する資産や将来稼ぐ利益を分配される権利を持っていますので、その金額を算出することで株式の本来的な価値を測ることができます。

もちろん社外の人間である投資家が手に入れられる情報には限界がありますので、不確実な推測値でしかありません。しかし、実際の株価が本来の企業価値と大幅に乖離していることは時々あり、特に天龍製鋸のような中小型株に多い傾向があります。

長い目でみれば実際の株価は企業の経済的価値に連動するものであるため、価値の目安がわかるだけでも株式投資に大いに役立ちます。

企業の業績などのデータから株式の価値を分析する方法はファンダメンタルズ分析と呼ばれます。ファンダメンタルズ分析については後で詳しく述べます。

株価の割安度を判断するには企業価値評価手法がおすすめ

企業の経済的価値を見積もって株価の割安度を判断する指標として、たとえばPERがあります。PERは利益の大きさに対する割安度の指標として最も有名であり、簡単に調べられるので使い勝手がいいというメリットがあります。

しかし、企業の経済的価値は利益の大きさだけで決まるものではなく、保有している資産の大きさでも変わります(たとえて言うと、同じ年収1000万円のサラリーマンでも貯金が10万円しかない人と、5000万円ある人とでは大きな違いがあることと一緒です)。

株価の割安度を評価する際は、利益と保有資産の大きさを総合的に評価できる「企業価値評価手法」がおすすめです。株価の割安度を合理的に評価できるため、投資判断で失敗しにくくなります

企業価値評価手法は財務諸表を読み解かないといけないため、ある程度の手間がかかることがデメリットです。しかし、GMOクリック証券を使えば割安度を診断できるツール(財務分析ツール)と株価の割安な銘柄を簡単に絞り込めるツール(スクリーニングツール)を無料で使えますので、便利です。

王道だけど積極的におすすめしないのはグロース(成長)株投資

2つ目の長期投資戦略は、グロース株投資です。

グロース株投資は企業の業績が成長するのに伴って、株価が上昇するのを待つ投資手法です。一般的な長期投資のイメージはグロース株投資だと思いますので、理解しやすいと思います。

例えば、グロース株の銘柄の代表例として、ユニクロを運営するファーストリテイリングやニトリがあります。業績の成長とともに株価が大きく上昇していることがわかります。

ファーストリテイリングの株価チャート

ファーストリテイリングの株価チャート

ニトリの株価チャート

ニトリの株価チャート

グロース株投資では成長が予想される企業を見つけられるかがすべてです。成功すれば、10倍以上に値上がりする(テンバガー株といいます)ことも夢ではありません。

実際、2003年にファーストリテイリングやニトリに投資して、15年後の2018年まで保有し続けていれば株価は10倍以上になっています。

一方で、グロース株は他の投資家の注目を浴びるため、一般的な割安さの指標であるPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)でみると株価が割高になっていることが多いです。割高であっても予想どおりに業績が成長してくれればいいのですが、将来の業績が悪化する場合もあります。

この場合、業績の悪化だけでなく、割高な株価が割安に変化します。その結果、ダブルパンチを受けて大きな損失を生むこともあります。

グロース株投資は王道的な長期投資手法ですが、業績の将来予測に自信がないと難しい手法です。一般的なイメージと違って、ハイリスク・ハイリターンな手法と考えたほうが賢明です。

PEGレシオを使うときの注意点

グロース株の株価は割高になっていることが多いため、割安さの指標としてPERやPBRではなく、PEGレシオを使うという人もいます。

PEGレシオとはPERを成長率で割った値です。グロース株は成長率が大きいからPERが高くなっているため、両者の比で割安さを判断するという考え方です。

PEGレシオの成長率の定義は人によって違います。例えば、売上や営業利益、経常利益、純利益です。これらの違いによって、結果的に割安さの目安となる基準も異なる点に注意が必要です(例えば、売上成長率で見ると、3倍以下は割安という人もいる一方で、利益成長率でみると2倍以下が割安だという人もいます)。

上手に使えば、成長力のある銘柄を発掘できますので良い手段です。しかし、PEGレシオは将来の業績見通しによって大きく変動しやすい特徴がある点に注意が必要です。

例えば、10%増益といわれていたけれども5%増益にとどまったということはよくあります。利益額では約5%程度の違いですが、成長率では半分になってしまいます。

つまり、小さな収益のぶれであっても成長率に与える影響は大きく、PEGレシオは大きくぶれてしまいがちなのです。PEGレシオによる割安さの判断は不安定であることを理解したうえで、業績の行方には細心の注意を払っておくことをおすすめします。

保有し続けることが大事な高配当株投資

高配当株投資(株主優待目的も含む)は、配当利回りや株主優待利回りが高い銘柄に投資して長期間持ち続けるという手法ですので、比較的銘柄選びはしやすいです。

また、配当や株主優待利回りが高い銘柄は個人投資家に人気があるため、市場全体が何かのきっかけで暴落しても、高配当株の株価は急落しにくいという特徴があります。株価が安定的というのは安心できる材料でしょう。

しかし、高配当株投資のデメリットは現在の配当や株主優待が将来も続くかはわからない点です。業績が悪化した場合は、配当や株主優待がなくなる可能性があります。配当や株主優待があるから保有していたという個人投資家が見切り売りを出しますので、株価が急落する可能性があります。

高配当だからといって、業績を無視して投資することはおすすめできません。

気を付けるべき高配当株の例

気をつけるべき高配当株の例として、以下に製薬会社最大手の武田薬品工業の1株あたり利益と配当金を示します。

武田薬品工業の1株益と配当

武田薬品工業の1株益と配当

武田薬品工業は高収益・高配当で有名でした。しかし、2012年以降は業績が低迷する一方、配当金は維持しています。結果的に、1年に稼いだ利益以上の配当を支払うことが常態化しています。

この理由もあってか、武田薬品の所有する現金および現金同等物は2011年のピークから急減しており、2018年はピーク時の1/3程度になっています。

武田薬品工業の現金および現金同等物

武田薬品工業の現金および現金同等物

もちろん、現金以外の資産もありますから、現金の減少が配当金に直接影響するわけではありません。しかし、配当余力がだんだん乏しくなっているのは事実であり、この状況が続けば配当金額が見直される懸念があります。

高配当株投資をする場合は、業績に見合った配当であるかチェックする必要があります。

連続増配銘柄を狙うのも良い

現在高配当な銘柄ではなく、連続して増配している銘柄を狙うというのもひとつの手法です。

例えば、携帯電話のauブランドで有名なKDDIです。KDDIは16期連続して増配しています。このような銘柄は今後も増配を続ける可能性が高いことから、だんだん配当利回りが高くなります。

もし2003年にKDDIに1株あたり700円で投資していた場合、2018年3月期の配当金は1株当たり90円ですから、配当利回りは約13%になります。そのうえ、株価も4倍以上になっていますから大成功といえるでしょう。

KDDIの株価チャート

KDDIの株価チャート

連続増配を続ける銘柄に長期投資するのも手です。

市場平均に賭けるインデックス投資(ETF)

バリュー株投資・グロース株投資・高配当株投資は、個別株に投資する手法ですので、成功するためにはある程度の企業分析が必要です。分析に必要な知識を習得する必要がありますし、企業分析の手間が多少なりとも必要です。

毎日忙しくて、そんな時間がとれないという方も多いかもしれません。詳しい分析ができない場合は、インデックス投資という選択肢もあります。

インデックス投資とは、市場平均に連動するように設計された投資信託(ETF:上場投資信託も含む)に投資することで、市場全体の成長から利益を得るという方法です。

インデックス投資では、市場全体に投資することになりますので、細かい銘柄選定が必要ありません。必要なのはどの市場に投資するかを決めるだけです。忙しくて銘柄分析の時間がないという方にはインデックス投資がおすすめです。

インデックス投資のデメリットは、市場平均にまとめて投資するため、業績が低迷していて株価が上昇しそうにない銘柄にも投資してしまうことです。優良銘柄のリターンが業績不振銘柄で相殺されてしまうため、そこそこの利回りしか期待できないのです。平均程度の利回りで十分と割り切れる人がインデックス投資に向いています。

インデックスファンドを購入するときは楽天証券で投資するのがオススメです。なぜなら、楽天証券は投信の品ぞろえが良く、お得なポイント制度があるからです。

以下の記事にまとめてありますので、詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ。

インデックス投資の主な投資先は米国がおすすめ

インデックス投資で重要なのは市場全体が成長していることです。どの市場に投資するかは最初によく考えておいたほうがいいと思います。

例えば、日本はバブル崩壊後、長く経済が低迷していました。アベノミクス以降にようやく成長してきましたが、少子高齢化もあって成長率は低いままです。

一方、アメリカは人口増加が続いており、経済成長も続いています。それに伴い、株価も長い目で見ると上昇を続けています。

経済成長に違いがあるなかで、株式の市場平均にどのような違いがあるか見てみましょう。アメリカと日本の代表的な株式市場平均として、S&P500とTOPIXを比較した結果が下図です。

S&P500とTOPIXの比較

S&P500とTOPIXの比較

1988~2017年の推移をみると、日本の市場平均であるTOPIXはバブル時の高値を30年近く更新できていない一方で、アメリカの市場平均であるS&P500は1988年の約10倍になっています。

過去のデータは将来を保証するものではありませんので、今後は日本優位になる可能性もゼロではありません。しかし、経済成長率の観点でみると、世界経済の中心地であり、今後も経済成長が続くと予想されているアメリカのほうが優位であることは確かです。

もし、インデックス投資をするならば主な投資先は米国として、残りを日本や欧州などにすることをおすすめします。

得意な手法で投資すべき

上記で述べた、長期投資の代表的な4手法はそれぞれメリット・デメリットがあります。どの投資手法でも成功している方はいますので、どれでないといけないということはありません。

自分の趣向やライフスタイルなどに適した方法があると思いますので、得意なやり方で投資すると良いと思います。

自分に合った投資手法は、能力やリスク耐性度、求めるリターンの大きさなどで異なります。最初のうちは失敗が多いですし、なかなか見極めるのが大変かもしれません。

不安な方は最初は、単元未満株投資信託を使って少額から分散投資するとよいです。少額投資の場合、たとえ損してもその金額は小さいので、安心して始められます。

いろいろ経験して、自分に合った投資方法がわかってきたところで徐々に投資金額を増やすとよいです。

長期投資の銘柄分析手法:ファンダメンタルズ分析

株式投資というと、株価チャートをみて「上昇のシグナルが出たから買いだ!」などのように分析するイメージを持っている人が多いと思います(チャート分析、またはテクニカル分析といいます)。

しかし、テクニカル分析で予想しているのは投資家心理を元にした需給です。短期投資ではある程度有効かもしれませんが、長期になるほど経済情勢や企業業績の変化の影響が大きくなるため、テクニカル分析では対応できなくなります。

代わって長期投資で重要なのはファンダメンタルズ分析です。ファンダメンタルズ分析とは「国内外の経済情勢企業業績などの基礎的な要因をもとに株価の動きを予測する分析方法」です。

個別株に投資するバリュー株投資・グロース株投資・高配当株投資の場合、ファンダメンタルズ分析は必須のスキルです。なぜファンダメンタルズ分析が重要なのでしょうか?

上述したように、株式は企業の共同オーナー権であり、株主は企業がもつ資産や将来稼ぐ利益を分配される権利を持っています。つまり、企業がもつ資産や将来稼ぐ利益の合計で株式の本質的価値(以下では理論株価、または企業価値と呼びます)を測ることができると考えられます。

したがって、企業業績などを分析すれば現在の株価が割安か割高かを判断でき、事業の進展とともに株価がどう動く可能性が高いかを予想できるのです。

ファンダメンタルズ分析でよく使われるツール、および情報源として、以下の3つが重要です。

  • 決算書(財務諸表)
  • 四季報
  • スクリーニング

それぞれの見るべきポイントについて簡単に解説します。

決算書(財務諸表)

上場会社は四半期ごとに決算書(財務諸表)を公開することが義務付けられています。決算書をみれば最新の業績がわかりますので、株式投資に大いに役立ちます。

たとえば、日本を代表する大企業として、ソフトバンクの決算書を見てみましょう。ソフトバンクグループのホームページにアクセスし、「IR情報」-「業績・財務」をクリックします。IR情報とは投資家向け情報という意味です。

ソフトバンクのIR画面

ソフトバンクのIR画面

決算短信」や「有価証券報告書・四半期報告書」という項目があります。決算短信は速報であるのに対して、有価証券報告書・四半期報告書は内容の詳細さと正確性を重視した資料です。閲覧したいほうをクリックすると、中身を閲覧することができます。

たとえば、平成30年3月期の決算短信で業績をチェックすると、以下のようになっています。

ソフトバンクの決算短信の連結経営成績

ソフトバンクの決算短信の連結経営成績

通常、株式投資で重視されるのは当期利益です。当期利益が順調に成長しているほどよいという判断になります。しかし、近年のソフトバンクは投資会社としての側面があり、当期利益で判断しにくくなっています。

代わりに本業の利益を表している営業利益を見てみましょう。営業利益は前年より27%も増えています。売上高も3%ほど増えていますので、当期利益は前年比マイナスになっていますが、本業は順調に成長していると判断してよいでしょう。

ソフトバンクの例のように決算書から企業業績を読み取ることができます。ほかにも事業分野ごとの売上・利益の内訳や企業の財務状態なども詳しく公開されていて、投資判断に非常に役立ちます。

決算書(財務諸表)はファンダメンタルズ分析に必須の情報源です。

会社四季報

しかし、決算書を読むには各会社のHPで各年度のデータをダウンロードしないといけません。業績は単年度ではなく、数年分の推移をみるほうがよいのですが、データをまとめ直すだけでも一苦労です。

そこで、過去のデータをまとめて閲覧するのに便利なのが、東洋経済新報社が3か月ごとに発行している会社四季報です。

上場会社すべての3~5年分の業績データを簡潔にまとめてくれていますので、とても便利です。会社四季報を株式投資のバイブルという人もいるくらい、投資家に愛用されています。

閲覧性がよいのは書籍版ですが、特定の会社の情報を知りたいだけであれば大手ネット証券で無料で最新版を閲覧可能です(口座保有者のみ、ログイン後に閲覧可能)。

たとえば、最大手のネット証券であるSBI証券でソフトバンクの四季報を見てみましょう。ログイン後、ソフトバンクのページを検索し、「四季報」-「財務状況」をクリックすると、業績が閲覧できます。

ソフトバンクの四季報画面

ソフトバンクの四季報画面

ソフトバンクの場合、過去4期の業績、および四季報の独自調査による今期、来期の業績予想の計6期分のデータが載っています。

会社四季報を見れば隠れたお宝銘柄が見つかることもありますから、ファンダメンタルズ分析に便利なツールです。

長期投資では企業の業績や財務情報を分析することが重要であり、多くの情報は証券会社が無料で提供してくれています。各社で少しずつサービス内容が異なりますので、複数の口座を併用するとよいです。

以下の記事で総合評価・用途別におすすめの証券会社をランキング形式でまとめました。詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ。

スクリーニング

ただし、日本の上場会社は約3700社あります。全部調べていたら、膨大な時間がかかってしまいます。毎日忙しくてそんな時間はないという方も多いでしょう。

ファンダメンタルズ分析で活用したい3つめのツールはスクリーニングです。スクリーニングとは複数の投資指標でふるいにかけて、条件に該当する銘柄だけを探し出すツールのことです。

スクリーニングツールはネット証券をはじめとして、多くのツールが提供されています。スクリーニングによる長期投資に適した銘柄の探し方については以下の記事にまとめてあります。
詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ。

長期投資の銘柄選びのコツと、スクリーニングによる簡単な探し方

各証券会社が提供している無料のスクリーニングツールは、もともと用意されているスクリーニング条件しか使用できません。そのため、複雑な条件式を使ったスクリーニングはできないという限界があります。

一方、「会社四季報CD-ROM」を使うと、自分で条件式を作成することができます。複雑なスクリーニングも自由自在ですので、大変使い勝手がいいです。

例えば、以下のEV/EBIT倍率(割安度を判定する指標のひとつ)のような条件式を作成することもできます。

四季報CD-ROMの条件式作成画面

四季報CD-ROMの条件式作成画面

本記事で割安度の指標として使っているPERは、簡単に使うことができてどの証券会社のスクリーニング条件にもある代表的な指標です。しかし、簡単であるがゆえに分析できることに限界があります。

多面的に割安度を分析するには、複雑な計算をしないといけないため、自分で条件式を作成可能な「会社四季報CD-ROM」は便利です。

会社四季報CD-ROMの難点は価格が高いことですが、強力な分析機能があるため、本気で株式投資に取り組みたい人にはおすすめです。

長期投資における最高の戦略は投資を継続すること

どの投資戦略においても重要なポイントがもうひとつあります。それは、どんな時も(不況時であっても)投資を継続することです。

なぜなら、長期投資で大きく差がつくのは、実は経済が好調なときではありません。リーマン・ショックなどの経済的な異変に見舞われ、株式市場が暴落したときだからです。

不況時のリターンは特に大きい

例えば、アメリカの代表的な市場平均のひとつであるS&P500で検証してみましょう。1997年から2012年の年末に投資をして5年間保有し続けた時のリターンを調べました。

S&P500の推移と、5年間保有した場合のリターンの推移が以下の図です。

S&P500の5年間のリターン

S&P500の5年間のリターン

上図をみると、リターンが大きいのは2002、2008年の株価が大きく落ち込んでいた時期です。それぞれ70%、100%という驚異的なリターン(5年間)が得られていることがわかります。

不況の時期は、株式投資なんてとんでもないという雰囲気になり、恐怖に陥ります。しかし、このようなときも継続して投資し続けることが重要です。不況の時期は優良企業の株価が格安にバーゲンセールされていますので、むしろチャンスの時期だと考えることが大事です。

投資の基礎知識についてのおすすめ記事はこちら:
株・投資信託の初心者におすすめな長期投資戦略のまとめ。損しないための始め方
長期投資を始めたいというあなたへ。当記事では「投資初心者が知っておくとよい投資の基礎知識と投資戦略、投資初心者におすすめな証券会社」についてまとめました。これを読めば長期投資に必要な考え方がわかります。どうぞご覧ください。

まとめ

本記事では、長期投資における戦略として、銘柄選択手法とリスクを抑える手法について紹介しました。複数の手法をまとめて解説しましたので、やることが多くて難しそうに感じた方もいるかもしれません。

しかし、長期投資は企業の業績が向上し、稼いだ利益の一部を株主が得るという投資の基本に沿った手法です。成功するには、業績がよくて株価が割高ではない銘柄を選ぶという基本的なことを追求するだけです。

また、銘柄分析の時間がない場合でも、市場全体の成長に投資するインデックス投資という選択肢があります。長期投資を実行するのは難しいことではありません。

一方、長期投資で資産形成するには、できるだけ投資期間を長くとる必要があります。投資期間が長くなるほど複利効果が大きく働くからです。

長期投資で資産を増やしたいと感じた場合は、まずは少額から始めてみるのがよいです。経験を積みながら、銘柄分析力を向上していくのがおすすめです。

少額から投資したいなら、単元未満株を使うのもおすすめです。単元未満株なら1株から売買できますので、通常の単元株取引(100株単位)よりぐっと投資しやすくなります。

私の場合、SBIネオモバイル証券を使って、1~3株くらいずつ定期的に積立投資しています。SBIネオモバイル証券を使えば、格安な手数料で1株ずつ売買できるので、リスク小さく始められて便利です。

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