割安株(バリュー株)は比較的損しにくく、長期保有しやすい点がメリットです。世界一の投資家と呼ばれているウォーレン・バフェットをはじめとして、バリュー投資で成功した人は多いです。
でも、指標的には割安なのに、全然株価が上がらなかったことがあります。成功する割安株と、失敗する割安株の違いは何ですか?
実は、割安株の中には業績がよくない銘柄が多いです。指標的には割安でも、業績が良くないと割安のまま何年も放置されることがよくあります。この状態をバリュートラップといいます。
バリュートラップに陥らないためには株価の割安さだけでなく、業績・財務が良好な銘柄を選ぶと良いです。このような銘柄は業績の拡大に伴って株価が修正されることが多いため、比較的失敗が少ないです。
本記事では私なりの投資基準で選んだ、割安株ランキングのベスト10について紹介します。
本記事は、自分の銘柄調査の一環として行ったものです。私なりの投資判断が含まれていますが、投資を推奨するものではありません。
投資をする際は、最新の情報を調べたうえで、自己責任で投資判断をお願いします。
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割安株(バリュー株)ランキングの判断基準
本記事では、以下の6つの観点を重視して、業績・財務が良好な割安株を10銘柄、厳選しました。
- 業績は成長しているか?
- 利益率が高いか?
- キャッシュフローが潤沢か?
- 財務は健全か?
- 株価は割安か?
- 株主還元姿勢があるか(配当、株主優待)?
以下では、それぞれの銘柄とその特徴について、簡単に解説します。
割安株(バリュー株)の指標は企業価値評価手法がおすすめ
本記事では割安さの指標として、一般的でわかりやすいPER・PBRを参考値として表示していますが、実際の銘柄選びでは企業価値評価手法による理論株価を重視しています。
企業価値評価手法では、収益性と資産性を総合評価するうえ、資産の質も考慮することから、ある程度合理的に割安さを判断できると考えているからです(企業価値評価手法で割安と判断された銘柄はPER、PBRも比較的割安になることが多いです)。
企業価値評価手法による割安株の見つけ方・指標については、以下の記事をどうぞ。
割安株(バリュー株)ランキングの一覧
最初に、割安株ランキングの一覧を載せます。
それぞれの銘柄について、以下で解説します。
最新の割安株ランキングはこちら:
1位.【8117】中央自動車工業
割安株ランキング1位は【8117】中央自動車工業です。
中央自動車工業は国内向けコーティング剤や海外向け自動車補修部品など自社企画の自動車用品を販売する会社です。
東証2部上場で、ややマイナーな銘柄ですが、高付加価値品の販売が国内、海外で好調であり、利益率が高いという特徴があります。
中央自動車工業は好業績・好財務な企業として定評があり、株価は業績成長とともに以下のようにだんだん上昇しています。
一方、中央自動車工業の投資指標は以下のようになっており、株価はやや割安な水準です(引用:YAHOO! ファイナンス、2019年8月)。
- 予想PER:8.7倍
- 実績PBR:1.5倍
割安さの原因は、中央自動車工業が東証2部上場であり、機関投資家が参入しにくいためと考えられます。時価総額や流動性をあまり気にしなくてもよい個人投資家にとってはむしろチャンスは大きいと考えています。
中央自動車工業の株価は買い時?好業績・好財務の、隠れた優良銘柄を分析してみました
2位.【7164】全国保証
割安株ランキング2位は【7164】全国保証です。
全国保証は主に住宅ローンなどの信用保証をする会社です。独立系なので全国の金融機関と提携できることを強みとしており、契約者数が年々増加しています。
全国保証はややマイナーな企業ですが、好業績・好財務な企業として一部の投資家に人気があります。
全国保証の株価は以下のようになっています。
株価は2015年以降、横ばいの状態が続いていますが、業績は順調に拡大しています。そのため、株価指標は以下のように割安になってきています(引用:YAHOO! ファイナンス、2019年8月)。
- 予想PER:10.9倍
- 実績PBR:2.2倍
全国保証は安心して長期保有できる銘柄の一つだと考えています。
全国保証の株価は買い時?株主優待や配当に加えて、業績・財務が魅力的な優良銘柄
3位.【9433】KDDI
割安株ランキング3位は【9433】KDDIです。
KDDIはauブランドで有名な大手通信会社です。携帯電話事業は毎月安定的に収入が見込めることと、電波の規制があるため、寡占性が高いという強みがあります。
また、KDDIは携帯電話事業のほかに、じぶん銀行や物販などの非通信分野を伸ばすことにも力を入れています。
KDDIの株価は以下のようになっています。
KDDIの株価指標は以下のように、やや割安になっています(引用:YAHOO! ファイナンス、2019年8月)。
- 予想PER:10.0倍
- 実績PBR:1.5倍
KDDIの割安さの原因は、通信料金に対する国(総務省)の介入があって、利益減少懸念があることと、楽天の携帯電話事業への参入によって競争激化の懸念があることの2つと考えられます。
今後は上記の影響がどこまで利益に表れるか次第ですが、今後も通信需要の拡大は続くと考えると、長期保有に適した割安株であると考えています。
また、KDDIは高配当と株主優待でも人気があります。インカムゲイン狙いでも投資しやすい貴重な銘柄です。
高配当利回りと株主優待で人気のKDDIの株価はどうなる?業績や割安度など検討してみました
4位.【9436】沖縄セルラー電話
割安株ランキング4位は【9436】沖縄セルラー電話です。
沖縄セルラー電話はKDDI傘下の総合通信会社で、沖縄における携帯電話シェア5割を誇る企業です。
沖縄セルラー電話の株価は以下のようになっています。
株価指標はKDDIと似ていて、やや割安な水準です(引用:YAHOO! ファイナンス、2019年8月)。
- 予想PER:10.2倍
- 実績PBR:1.2倍
KDDIと同じく、今後の業績は通信料金がどうなるか次第です。とはいえ、今後も通信需要の拡大は続くと考えると、沖縄セルラー電話は長期投資に適していると考えています。
また、沖縄セルラー電話も高配当と株主優待で人気があります。インカムゲイン狙いで投資するのにも適しています。
高配当利回りと株主優待で人気の沖縄セルラー電話の株価はどうなる?業績や割安度など分析してみました
5位.【7833】アイフィスジャパン
割安株ランキング5位は【7833】アイフィスジャパンです。
アイフィスジャパンは投信目論見書や販売パンフレット、アナリストリポートなどの印刷をメインとしているほか、コンセンサス予想なども提供しています。
利益率が低い会社が多い印刷業界において、営業利益率約15%(2018年12月期)という高利益率で知られています。
アイフィスジャパンの株価は以下のようになっています。
株価の上下がやや激しいですが、長期的に見ると株価は上昇傾向にあります。一方、業績も順調に拡大しているため、株価指標もやや割安な水準にとどまっています(引用:YAHOO! ファイナンス、2019年8月)。
- 予想PER:10.9倍
- 実績PBR:1.6倍
アイフィスジャパンの業績は証券業界に左右されるため、やや変動が激しいです。しかし、長期の視点でみれば、現在の割安な株価は投資に適していると考えています。
アイフィスジャパンの株価は買い時?好業績・好財務の、隠れた優良銘柄を分析してみました
6位.【4659】エイジス
割安株ランキング6位は【4659】エイジスです。
エイジスは棚卸代行サービスで、国内シェアNo.1の会社です。全国にサービスを展開していて、海外棚卸代行にも拡大してきています。
エイジスの株価は以下のようになっています。
エイジスの株価は上下しながら、長期的にみて上昇を続けていることがわかります。
株価とともに業績も拡大しているため、株価指標はやや割安な水準になっています(引用:YAHOO! ファイナンス、2019年8月)。
- 予想PER:9.7倍
- 実績PBR:1.9倍
エイジスは業績・財務・株価の割安さの観点から、長期投資に適した銘柄です。
エイジスの株価は買い時?好業績・好財務の、隠れた優良銘柄を分析してみました
7位.【2152】幼児活動研究会
割安株ランキング7位は【2152】幼児活動研究会です。
幼児活動研究会は幼稚園、保育園における体育指導サービスを手掛けている会社であり、好財務な企業です。
高成長というわけではないですが、着実に業績を拡大しており、株価も徐々に上がってきています。
株価指標的には格安というわけではないですが、豊富な現預金を持っていて実質無借金企業です(引用:YAHOO! ファイナンス、2019年8月)。
- 予想PER:15.1倍
- 実績PBR:1.8倍
財務内容の良好さとこれまでの堅調な成長ぶりから、幼児活動研究会の株価はやや割安と考えています。
幼児活動研究会の株価は買い時?配当や株主優待は?業績や財務を分析してみた
8位.【3763】プロシップ
割安株ランキング8位は【3763】プロシップです。
プロシップは会計パッケージシステムを開発・販売をメインとしている会社で、特に固定資産管理、リース資産の管理などに強みがあります。
プロシップは好財務で知られ、株価は以下のようになっています。
株価は2016年以降に急上昇しましたが、徐々に業績が拡大しており、指標面での割高感はありません(引用:YAHOO! ファイナンス、2019年8月)。
- 予想PER:16.2倍
- 実績PBR:2.2倍
好財務・高収益であることを考慮すると、プロシップの株価はやや割安と考えています。
プロシップの株価は買い時?配当や株主優待はお得?隠れた優良銘柄を分析
9位.【4327】日本SHL
割安株ランキング9位は【4327】日本SHLです。
日本SHLは採用や人事評価の診断ツールと人事コンサルをメインとした会社です。マイナビと資本提携していて、収益性の高さと好財務で知られています。
日本SHLの株価は以下のようになっています。
株価は2017年に急上昇した後、やや下落しました。一方、業績は緩やかに拡大していますので、株価指標に割高感はありません(引用:YAHOO! ファイナンス、2019年8月)。
- 予想PER:14.3倍
- 実績PBR:2.5倍
業績・財務の良さを考慮すると、日本SHLの株価はやや割安と考えています。
日本SHLの株価は買い時?配当利回りや株主優待はお得?長期投資におすすめな好業績・好財務銘柄
10位.【5388】クニミネ工業
割安株ランキング10位は【5388】クニミネ工業です。
クニミネ工業は鋳物事業などに使われるベントナイト(特殊粘土鉱物)の最大手企業です。2019年3月期の営業利益率は約12%であり、製造業の中では比較的高い競争力を持っている会社です。
クニミネ工業の株価は以下のようになっています。
クニミネ工業の業績は納入先(自動車や建機など)の生産状況に左右されるため、やや景気敏感です。そのため、クニミネ工業の株価も景気を反映して変動がやや大きいです。
一方、クニミネ工業の株価指標をみると、以下のように割安です(引用:YAHOO! ファイナンス、2019年8月)。
- 予想PER:9.1倍
- 実績PBR:0.7倍
クニミネ工業は実質無借金の好財務企業なので、事業継続性は高いです。長期投資に適した割安銘柄であると考えています。
クニミネ工業の株価は買い時?好業績・好財務の、隠れた優良銘柄を分析してみました
まとめ
本記事では私なりの投資基準で選んだ、割安株投資でおすすめな銘柄ランキングについて紹介しました。
最後にもう一度、ランキングを載せます。
本ランキングでは株価の割安さだけでなく、業績・財務の良さも判断基準に加えて選んでいます。そのため、一般的に資産バリュー投資家が選ぶような格安銘柄(たとえば、時価総額を上回るほどの資産価値を持つ銘柄)は含まれていません。
しかし、業績が良い銘柄は時間とともに企業価値が増大するため、株価も連動して上昇しやすいという良さがあります。
業績良好な割安株は、バリュートラップ(割安な銘柄が、いつまで経っても割安なまま放置される状態)に比較的陥りにくいため、長期投資しやすいです。
本記事が割安株選びの参考になれば幸いです。
※本記事は、自分の銘柄調査の一環として行ったものです。私なりの投資判断が含まれていますが、投資を推奨するものではありません。投資をする際は、最新の情報を調べたうえで、自己責任で投資判断をお願いします。
上記の割安株の買い方
最後に、本ランキングで紹介した銘柄について、少額から、安い手数料で買う方法について解説します。手数料は運用成績を確実に悪化させる要因ですので、できるだけ手数料が安い証券会社を利用しましょう。
主なネット証券の一覧
投資をするなら、対面型証券会社よりもネット証券が良いです。ネット証券は運営コストが安いので、対面型の証券会社より格段に手数料が安いです。
主なネット証券11社とおすすめの用途は以下のようになっています。
会社名 | おすすめの用途 | 当ブログの評価記事 |
---|---|---|
SBI証券 | 何でも | SBI証券のメリット・デメリット、評判・口コミ |
楽天証券 | 投資信託 (ポイント) | 楽天証券のメリット・デメリット、評判・口コミ |
マネックス証券 | 米国株 | マネックス証券のメリット・デメリット、評判・口コミ |
松井証券 | ロボアドバイザー (投信工房) | |
auカブコム証券 | 日本株 | |
GMOクリック証券 | 日本株 (財務分析ツール) | GMOクリック証券のメリット・デメリット、評判・口コミ |
SBIネオモバイル証券 | 日本株 (単元未満株) | SBIネオモバイル証券のメリット・デメリット、評判・口コミ |
ストリーム(株アプリ) | 日本株 (手数料) | ストリーム(STREAM)のメリット・デメリット、評判・口コミ |
LINE証券 | 日本株 (単元未満株) | LINE証券のメリット・デメリット、評判・口コミ |
PayPay証券 (旧:ワンタップバイ) | 米国株 | PayPay証券(旧:ワンタップバイ)のメリット・デメリット、評判・口コミ |
岡三オンライン | 日本株 | |
ライブスター証券 | 日本株 |
- SBIネオモバイル証券:1株から少額投資できて、手数料も格安
- ストリーム(STREAM):株式の取引手数料が無料(従来型の委託手数料について)
- SBI証券:最大手のネット証券でオールマイティーに便利
格安な手数料で、1株から少額投資したいならSBIネオモバイル証券
日本株の通常の取引単位は100株(1単元)です。たとえば、本ランキングで紹介したKDDIの株価は2887.5円(2019/9/13終値)ですので、通常は約29万円くらいの資金が無いと購入できません。大金を一度に投資すると、失敗したときのダメージが大きくなりますし、そもそも投資資金が豊富でないと買えないという問題があります。
少額からリスク控えめに投資したいなら、SBIネオモバイル証券の単元未満株制度を使うとよいです。なぜなら、格安な月額手数料で、1株から何度でも売買できて便利だからです(単元未満株のメリット・デメリットはこちら)。
SBIネオモバイル証券は2019年4月に営業開始した新興ネット証券ですが、ネット証券最大手のSBI証券とCCC(TSUTAYAやTポイントの運営会社)の合弁会社なので、信頼感もあります(SBIネオモバイル証券のメリット・デメリットはこちら)。
株式の取引手数料を無料にしたいならストリーム(STREAM)
株アプリ「ストリーム(STREAM)」は2018年にスタートした、新しいネット証券です。SBI証券や楽天証券のような知名度はありませんが、株式の取引手数料がゼロ円という他にはない特長を持っています(ストリームのメリット・デメリットはこちら)。
ストリーム(STREAM)は新興ネット証券ですが、KDDIや大和証券などの大企業も出資している会社が運営していますので、ある程度の信頼感はあると考えています。
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株取引をするなら、信用ある大手がいいという場合は、SBI証券がおすすめです。SBI証券は国内株式個人取引シェアNo.1であり、最初に開いた口座がSBI証券という方は多いです。
SBI証券の手数料は無料ではないですが、他証券と比較しても安い水準です。また、SBI証券は夜間取引やIPO(新規公開株)など、取り扱う商品・サービスが豊富なので、オールマイティーに使いやすいのがメリットです(SBI証券のメリット・デメリットはこちら)。
アンケート:株価分析を希望する銘柄があれば、教えてください
もし、株価分析を希望する銘柄があれば、下記のアンケートで投票いただけるとうれしいです。
分析記事の対象銘柄選びの参考にさせていただきます(過去の株価分析記事はこちら)。
投票の仕方:
- 以下の銘柄の中で、株価分析を希望する銘柄に投票してください。選択肢にない銘柄をご希望であれば、自分で追加することも可能です。
- 書き込む場合は銘柄コードではなく、日本株の銘柄名でご入力ください。
- 本アンケートは日本株限定でお願いします。
- 書き込む場合は、日本株の銘柄名のみを入力してください。もし、それ以外の不適切な内容が書き込まれた場合は削除することもありますので、ご了承願います。
- 銘柄数が多くなりすぎた場合は、サイト管理者が整理することがありますので、あらかじめご了承ください
- できるだけご希望に沿えるように記事を作成していきたいと思いますが、余暇を使って記事を作成している関係上、すべてのご希望にお応えできるとは限りません。あらかじめご了承いただけますよう、よろしくお願いします。